「謎新聞ミライタイムズ」担当のSCRAP・堺谷光が、謎制作の舞台裏を明かす

インタビュー

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謎新聞ミライタイムズ (2)敵か?味方か?デジタル新聞部

『謎新聞ミライタイムズ (2)敵か?味方か?デジタル新聞部』

著者
佐東 みどり [著]/フルカワ マモる [イラスト]/SCRAP [著]/「シャキーン!」制作スタッフ [監修]
出版社
ポプラ社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784591158531
発売日
2018/04/05
価格
1,188円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「謎」ってどうやって作るの? 『謎新聞ミライタイムズ』謎制作担当のSCRAP・堺谷光さんにインタビュー

[文] ポプラ社

街なかやビル内を歩き、与えられたヒントを元に謎を解き明かしていく「体験型謎解き・脱出ゲーム」が人気を集めています。NHK Eテレで放送の「シャキーン!」の人気コーナー「謎新聞ミライタイムズ」で謎の制作を担当しているSCRAPの堺谷光さんは、国内で数多くの「リアル脱出ゲーム」イベントを開催してます。そんな“謎作りのエキスパート”である堺谷さんに謎を作るときの秘訣や制作の舞台裏などを伺いました。

謎作りのエキスパート・堺谷光さん
謎作りのエキスパート・堺谷光さん

謎解きは「このネタ、スッパぬきだぜ!」の瞬間が面白い

――この度、NHK Eテレ「シャキーン!」の謎解きアニメを書籍化した『謎新聞ミライタイムズ』の第2弾が刊行され、本書にはさまざまな謎が収録されています。もともと謎解きに興味はありましたか?

堺谷さん:小学校の頃から謎っぽい遊びが好きで、学校の図書館に置かれていたとんちクイズのような本を全部読みました。謎解きの楽しいところは、アイデアの面白さです。意外なところに答えがあって、そのからくりが分かった瞬間が楽しい。いわゆる“ひらめき”ですね。

――まさにトキオの「このネタ、スッパぬきだぜ!」(主人公が謎を解いたときに言う決めゼリフ)の瞬間でしょうか。謎好きが高じて、今では謎を作る立場に?

堺谷さん:SCRAPに入った理由は、もともとリアル脱出ゲームのファンだったことがきっかけです。10年以上前、SCRAPが最初に開催したゲームに参加して、面白いなぁと。当時は参加者があまり多くなかったので、終わったあとにSCRAPの社長と話す機会があり、パズルを作るサークルで活動していることを伝えたら、「じゃあ脱出ゲームを作ってみないか」と。当時、大学生の頃から謎作りのお手伝いをして、そのまま入社しました。その頃のリアル脱出ゲームは今のようなチーム戦ではなく、1回の開催に全員が参加していたので、自分が早く謎を解いてしまうとすぐにゲームが終わってしまう。それをふせぐためにも作る側に引き抜いた……という話を聞いたことがあります(笑)。

――もともと謎解きのエキスパートだったのですね。その経験は謎作りにも生かされていますか?

堺谷さん:謎にはいくつかのパターンがありますので、それを知っていることは大きいと思います。ただ、アイデアを思いつくかどうかは難しいところで、1時間で湧いてくることもあれば、3日経っても出てこないことがありまして。テレビ放送に間に合わせるためには、これまでのストックといいますか、今までのパターンをアレンジして作ることもありますね。たとえば、五十音表をうまく使って別の問題を作るとか。

――謎作りには大きくわけて、最初から練ったアイデアを使う場合と、既存のアイデアをアレンジするパターンがあると。謎のストックはどこかに書き溜めていますか?

堺谷さん:個人的にそういうものはないんですが、SCRAPが考案した謎をまとめた本がありますので、それを開いて“こんなアイデアもあったなぁ”と参考にすることはあります。

――新しいアイデアの発想の源になるものは?

堺谷さん:直接の出処がはっきりしているわけではないのですが、デスクに座っているときではなく、外を歩いているときとか、自宅でお風呂に入っているときに、突然思い浮かぶことが多いです。それは人によって違って、話すことによってアイデアが浮かぶ人は会議をしていることもあります。アイデアが決まってしまえば、問題を作るのにかかる時間は10分か15分くらいです。

――問題を作るという作業には、あまり時間がかからないのですね。よくできた問題に共通している点はありますか?

堺谷さん:基準にしているのは、解けなかったときに何が違ったのかを納得できることです。答えを見たときに「なるほど!」と思える問題ですね。

――書籍版『謎新聞ミライタイムズ』は小学生向けですが、子ども向けの謎と大人向けの謎を作るときの違いとは。

堺谷さん:普段から、むずかしい知識を使うのではなく、小学生でも解けることを意識しているので、小学校高学年くらいなら大人向けとそんなに違いはありません。違うところは、英語や難しい漢字など、まだ習っていない要素が使えないことくらいです。リアル脱出ゲームでも、大人より小学生のほうが先に解くことがよくありますからね。もっと下の年齢なら、ひらめき要素を減らすことで難易度を下げていきます。たとえば「この中で2つある文字はどれでしょうか」など、時間がかかってもいいから頑張ればできるのが、難易度が低めの問題です。

――もっと謎をスラスラ解きたいという読者に、謎解きのコツを教えていただけませんか?

堺谷さん:何度も謎を解いていくことによって、問題を見た瞬間に“あのパターンかな”と分かることがあると思います。あきらめずに、何度も挑戦することによって早く解けるようになりますよ。

「何度も挑戦することによって早く解けるようになりますよ」と堺谷光さん
「何度も挑戦することによって早く解けるようになりますよ」と堺谷光さん

謎とストーリーの組みあわせが『謎新聞ミライタイムズ』の魅力

――アニメ「謎新聞ミライタイムズ」では、謎とストーリーのどちらを先に作っていたんですか?

堺谷さん:アニメでは最初、ストーリーに謎を当てはめていましたが、それだと時間がかかりすぎてしまう。途中から、いくつかの謎を先にお渡しして、先にストーリーを組んでいただくようになりました。謎とストーリーが仕上がったら95%は完成。最後に問題を完成させます。ストーリーと謎をしっかりとマッチさせることには気を使っていますね。

――ストーリーと謎をうまく馴染ませるポイントとは?

堺谷さん:ストーリーを優先するために、謎はできるだけシンプルにしています。謎好きの人は謎を解くだけでも楽しめると思いますが、ストーリーが加わることによって楽しめる人の幅が広がっていると思います。

――書籍版『謎新聞ミライタイムズ』の第2巻に収録されている謎で、特に注目してほしいものは?

堺谷さん:2つの図形を重ねて答えを出す第4話「ビーバー地獄を食いとめろ!」の謎は、わりと新しいアイデアです。直接ではありませんが、穴のあいた紙を何かの上に置いていくアイデアから発想を得ているところはあります。

堺谷さんおすすめ「第4話」の謎
堺谷さんおすすめ「第4話」の謎

――最後に、謎解きが好きな子どもたちにメッセージをお願いします。

堺谷さん:大人でも子どもでも楽しめるが謎の面白さですし、大人が解けないのに子どもが解けることも少なくありません。そういうことって、他にはあまりないですよね。周りの大人と謎解きの競争をしてみるのもおすすめです。

吉田有希(写真:吉田有希)

ポプラ社
2018年5月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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