【写真集】『新宿 ゴールデン街のひとびと』

レビュー

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新宿―ゴールデン街のひとびと

『新宿―ゴールデン街のひとびと』

著者
佐々木美智子 [著]/佐々木美智子写真集製作支援委員会 [編]
出版社
七月堂
ISBN
9784879443175
発売日
2018/04/01
価格
3,080円(税込)

【写真集】『新宿 ゴールデン街のひとびと』

[レビュアー] 三保谷浩輝

■文化担った濃密な人間図鑑

 東京・新宿ゴールデン街を中心に数々のバーを営み、84歳の今も店に立つ著者(おみっちゃん)。60年以上前、北海道から上京し、学生運動の内側や映画撮影現場、バーのカウンターなどで写真を撮り続けてきた写真家でもある。

 その著者が「自分なりの青春を検証しよう」と出版した本書は、ゴールデン街に集う人々の超アップのモノクロ顔写真と濃密な交遊エピソードなどを収録。「1960~70年代の新宿文化を形成した人たちの姿が浮かび上がる。まさに人間図鑑です」と製作支援委員会のライター・編集者、西巻元さん。

 名前を聞けば納得する映画、演劇、音楽人から作家、活動家、飲食店関係者まで300人以上が登場。〈“新宿”という名の愛すべき巨大なモンスターとの伴走記〉(写真家、森山大道氏)、〈おみっちゃんは今日も行く!…見習わなくちゃ〉(ミュージシャン、坂田明氏)などのメッセージも。

 西巻さんはいう。「波瀾(はらん)万丈のマドンナのもとには、いろんな人が集まっていた。エネルギッシュで、猥雑(わいざつ)で、やさしくて…。本から当時の新宿の空気を感じ取り、刺激にしてもらえれば」。3月発売で、このほど増刷。おみっちゃんのファンも増えそうだ。(佐々木美智子著、佐々木美智子写真集製作支援委員会編/七月堂・2800円+税)

 三保谷浩輝

産経新聞
2018年5月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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