ベーシックインカムがAI台頭で「空論」から「必然」に

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AI時代の新・ベーシックインカム論

『AI時代の新・ベーシックインカム論』

著者
井上智洋 [著]
出版社
光文社
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784334043469
発売日
2018/04/18
価格
907円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

ベーシックインカムがAI台頭で「空論」から「必然」に

[レビュアー] 小飼弾

 ベーシックインカム(BI)という概念がある。要は「国民皆年金」のことだ。元来の年金すら財源不足で支給年齢を上げようという時代に何も問わずに金を渡すなど、現代人には到底受け入れがたい考えに聞こえるが、生活保護や年金のような「人を問う手当」より無審査な分、公平で経費も少ない。優れた制度なので、選者もブログや拙著『弾言』や『働かざるもの、飢えるべからず。』などを通して機会あるごとにその効用を説いてきたが、最近になってBIを導入すべき大きな理由がもう一つ登場した。

 人工知能、AIである。

 すでに筋力や計算力は機械化が進んで久しいが、これまで計算力では実現できなかった知的労働も機械化が見えてきた。AIがあなたの仕事をしてくれる、そこまではいい。ではAIのアガリは誰が受け取るか? あなたでもないしAIでもない。AIのオーナーである。そこまではしかたがない? ではAIが生産したものは誰が買えるのか? 労働を通した報酬分配が止まったら、実はAIの仕事までなくなってしまうのである。どうすればよいか。

 労働を経由せず直接消費者に金を渡すしかないではないか。

 井上智洋『AI時代の新・ベーシックインカム論』はAI以前のBI論を踏まえつつ、AIの台頭でBIが「机上の空論」から「機上の必然」になることを説いている。共産主義? とんでもない! BIこそが「国民皆資本家」を実現する資本主義のゴールなのだ。

新潮社 週刊新潮
2018年5月24日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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