五里霧中の健康書ブームにビジネスマン必見の究極の食事法

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世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』

著者
津川 友介 [著]
出版社
東洋経済新報社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784492046241
発売日
2018/04/13
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

五里霧中の健康書ブームにビジネスマン必見の究極の食事法

[レビュアー] 田中大輔(某社書店営業)

 2015年頃からビジネス書×健康書というタイプの本がヒットしている。30万部を突破した『スタンフォード式 最高の睡眠』(西野精治・著、サンマーク出版)をはじめ、昔なら実用書のコーナーに並んでいたような本が、ビジネス書のコーナーに置かれることでヒットしている。

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』は同タイプの食事法の本の決定版といってもいい。この本は発売10日で10万部を突破している。「〇〇だけ食べていれば健康になれる」というようなあやしい情報が巷にはあふれている。しかしそういった情報の多くは科学的根拠に基づいておらず、間違ったものが多い。医者や栄養士が言っているからといって、その情報が正しいとも限らない。また省庁が発表する「ガイドライン」ですら、関連業界のロビイングの影響で、歪められている可能性を否定できないという。ではいったいなにを信じたらいいのだろうか。それは強いエビデンス(科学的根拠)に基づく情報だ。メタアナリシスという、複数の研究結果をまとめる研究手法がある。そこから導き出された究極の食事とはいったいどんなものだろう?

 数多くの信頼できる研究によって、本当に健康に良いと考えられている食品は(1)魚、(2)野菜と果物(フルーツジュース、ジャガイモは含まない)、(3)茶色い炭水化物(精製されていない炭水化物)、(4)オリーブオイル、(5)ナッツ類の5つだ。逆に健康に悪いと考えられているのは(1)赤い肉(牛肉や豚肉のこと。鶏肉は含まない)、(2)白い炭水化物、(3)バターなどの飽和脂肪酸の3つである。健康を維持するには、健康に悪い食事を良いものに置き換えていけばいいそうだが、肉や米を食べない人生というものが果たして幸福なのか?と言われるとはなはだ疑問である。著者もこの本でそういったものを「食べるべきではない」と言っているのではない。メリットとデメリットを理解した上で、何を食べるかを選択すべきであるという話だ。

「美味しいものを食べることと、健康を天秤にかけたとき、あなたはいったいどちらを優先しますか?」

新潮社 週刊新潮
2018年5月31日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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