現代人の疲れた心に響く縄文式の「お悩み相談」〈ベストセラー街道をゆく!〉

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縄文人に相談だ

『縄文人に相談だ』

著者
望月昭秀 [著]
出版社
国書刊行会
ISBN
9784336062390
発売日
2018/01/24
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

現代人の疲れた心に響く縄文式の「お悩み相談」

[レビュアー] 倉本さおり(書評家、ライター)

 昔から「お悩み相談」のたぐいは人気がある。回答者はたいてい、ズバリ言っちゃうタイプの有名人か、そっと背中を押してくれるタイプのカウンセラーのどちらかであることが多い。だが発売から4カ月足らずで重版を果たした本書の回答者はなんと「縄文人(のふりをした現代人)」! 合言葉は「悩みなんて全部まとめて貝塚にポイ」――その名も『縄文人に相談だ』である。

 もともと著者の望月昭秀が2015年から発行していた「縄文を楽しむための」フリーペーパー『縄文ZINE』から生まれた本書。連載当時からサブカル方面を中心に絶大な人気を誇っていた。が、そもそもなんで縄文? その需要はいったいどこからやって来るの?

「そもそも縄文時代には文字や文献がなく、モノしか残されていないんです。だからこそ、個人がある程度自由に想像を膨らませられる面白さがあるのではないかと」(担当編集者)

 本書の中の言葉を借りれば、〈どの時代よりもオープンで、誰でも楽しむことができる懐の深い時代〉といったところだろう。そのオープンさが、情報過多でクローズドサークルに陥りがちな現代人の疲れた心に響くのかもしれない。

 例えば「整理整頓ができません」というお悩みには「それって旧石器時代のスタイルですね」。「お金がなかなかたまりません」というお悩みには「お金ってなんですか?」――質問の意図をしれっと脱臼させていくような回答の数々にニヤニヤさせられる一方、目からウロコの価値観の提示にハッとさせられることもしばしば。他にも「縄文時代になかったもの」「今会いに行ける土偶」といった遊び心のあるコラムも充実している。なによりページのはしばしに「現代」という時代の可笑しさのほうをチャーミングにいじるような精神が横溢しているのがいい。

「今という時代を相対化する際に、どこに立脚点を置くか。縄文という時代を通じて“真面目に遊ぶ”本を作ろう、と考えたときに意識したのがこの一点でした」(同)――これぞ縄文式本作りの極意。

新潮社 週刊新潮
2018年6月7日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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