<東北の本棚>刺激あふれる「指南書」
[レビュアー] 河北新報
定年退職後をいかに生きるか。元宮城県職員の著者が、「笑って棺桶(かんおけ)」で人生の幕を閉じるために、語学留学や一人旅など実行に移した行動を自身の講話や書簡などを通じて総括した。刺激あふれる「終活」の指南書ともいえる。
おいの結婚披露宴でのスピーチ、友人に送った手紙、本の感想文など、2015~17年に記した18編で構成。17年にがんを患い、友人に送った手紙には「高齢独り暮らしの男性こそ少しハードルの高い『夢&目標』を掲げないと早々と萎(しぼ)んでいくだけ」とつづった。
退職時点を「終活」のスタートと位置付け、未知体験をベースに主体的に活動してきた著者。「夢&目標」のハードルは、少し高いが実現可能性は低くない辺りが「適当」とし、米国単身1年滞在、米大陸横断単身ドライブ、英国一人旅、本出版を実現した。
進め方は「Plan Do See」(計画、行動、評価)を慎重に丁寧に実践することと説く。その結果、「思いもかけないネットワークが広がり、自分が生きていることを真から実感する場が増えた」。
著者は1941年大崎市生まれ。64年に宮城県庁に入り、工業技術センター所長などを務めた。2006年に公職を辞した。著書に「グレイトブリテン一人旅」など。
リフレ出版03(3823)9171=1188円。