福田萌も共感!  我が家は、「イクメン」より「ツーオペ育児」。話題の育児漫画『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』

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目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで

『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』

著者
水谷 さるころ [著]
出版社
新潮社
ジャンル
芸術・生活/コミックス・劇画
ISBN
9784103518112
発売日
2018/04/26
価格
1,100円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

福田萌も共感!  我が家は、「イクメン」より「ツーオペ育児」。話題の育児漫画『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』

[レビュアー] 福田萌(タレント)

福田萌
福田萌

■恐怖のワンオペ育児と、産後クライシス

 上の娘を産んだ4年前、母乳育児にこだわり、離乳食は手作り、夫にも頼らず育児の全責任は自分にある……と、私はとにかく自分で自分を追いつめていました。「良いお母さんにならなくちゃ!」という気持ちばかり先行して、その「理想像」に追いつけないことが苦しくて。夫は夫で、「子供のためにもがむしゃらに働いて稼ぐぞ!」と家を空けることが前以上に増えてしまい、それまでは二人で話をする時間が多かったのに、それもできなくなってしまった。一日中子供と家にいた自分には夫に話せる面白いトピックなんてない……なんていつの間にか遠慮もしちゃって、どんどん気持ちがすれ違っていきました。恐怖のワンオペ育児と産後クライシス……あの頃には絶対戻りたくないです(笑)。

 そんな経験をしたので、「良好な夫婦関係は、産前産後で9割決まる!」という著者の水谷さるころさんの意見には、大賛成。フリーランス同士なこと、夫婦でよく話し合う習慣があること、保活で苦労したこと……など、さるころさんご夫婦とうちの夫婦には共通点も多々あって、読みながら「わかるわかる!」と何度も頷きました。

『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』より
『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』108ページより

■中途半端な「イクメン」はいらない!

 今振り返ると、実際に昼間の育児の様子をみていない夫が、私の立場を理解するなんて、そもそも無理なこと。そんな夫の意識が変わったのは、産後1年2ヶ月で卒乳してからでした。私が彼への「八つ当たり」を始めたからです。
「家のことも子育ても、あなたは何もしていない!」「他の家庭みたいに週末家にいてくれないなら、私はずっと、月月火水木金金だ!」と、それまでの不満を一気に爆発させたものだから、彼としては相当驚いたようでした。

 もちろん、例えば美容室に行く1、2時間一人で子供をみてくれるなど、できることはしてくれていたのですが、それは「育児を夫婦で共有する」ことではありません。ちょっと手伝っただけで「イクメン然」とすることもあった夫に、私自身も自分がこれほどの不満を彼に抱いていたとは、言葉にするまで気がつきませんでした。
 さるころさんが20個挙げている「我が家のルール」にもありますが、「おかしいと思ったら即話し合」い、本音でぶつかり合うことでしか気が付けないこともあるのだと実感した出来事です。

『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』より
『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』31ページより

■「二人で育てる」意識の共有

 そんな「爆発」を経て、夫の意識は確実に変わりました。
「これまで以上に稼ぐこと」ではなく、「家にいてなるべく多くの時間を夫婦で共有すること」を自分の使命とし、相方の藤森さんと話し合い、できる限り仕事を調整してくれたのです。実際に行動に移してくれたことに驚きつつも、夫が働く時間とオフの時間をはっきりさせて、「二人で育てる」意識——子育ての当事者意識をもってくれたことが、私は何より嬉しくて。子育ての愚痴だけじゃなくて、「今日は一人で食べられたよ」「ウンチをしたら教えてくれた!」といった、ささいな成長の喜びも分かち合えるようになって、さるころさんが言うところの、「ツーオペ育児」に近づいているのかなとも感じています。

 炊事をすべて担当されたり、毎日保育園の送りをしたりと、さるころさんの旦那さんも、この「当事者意識」をかなりもっている方だから、「ツーオペ育児」が実現しているんですよね。それこそ、「俺が一家の大黒柱だ!」とか「男は稼いでナンボ!」といった、ヘンな男のプライドがないのも素晴らしいです。

『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』より
『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』129ページより

「ヘンな男のプライド」問題で言えば、これは夫が話していたことですが、「少年ジャンプ」を読んで育った世の中の多くの男性は「常に強い敵を倒してレベルアップしていく」のが「格好いい人生のあり方」と思い込んでいる傾向にあって、「現状維持」に幸せを見出せない……と。
 ちょっと無理矢理な感じもするけれど(笑)、でも、幸せって案外、いまある環境のなかに見つかることも多かったりします。強い魔王を倒し続けないといけない「ドラクエ」もいいけれど、釣った魚をみんなで食べてほのぼの暮らす「どうぶつの森」もまた違う面白さがあることに、もっと多くの人が気がつくと、社会全体が変わって行くのかもしれません。

 ワンオペ育児に悩む女性にとってはもちろん、これから出産される方、そして男性たちにも多く読んでもらいたいエッセイ漫画です。

新潮社
2018年6月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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