『人間の偏見 動物の言い分』 高槻成紀著

レビュー

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人間の偏見 動物の言い分

『人間の偏見 動物の言い分』

著者
高槻成紀 [著]
出版社
イースト・プレス
ISBN
9784781616612
発売日
2018/05/17
価格
1,836円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『人間の偏見 動物の言い分』 高槻成紀著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 本書を読んだ後、アニメ映画『ズートピア』に登場する動物キャラクターのうち、実物を見たことがあるもの、触ったことがあるものが何種類いるか数えてみたら、私の生活はまさに著者が書いているとおり「存在感があるのはペットだけ」の都市生活者のものだと身にしみてしまった。

 その外見や生態が情報として「知られる」動物たちは、ほとんどのヒトにとって実体ではなくイメージの存在だ。神話や伝説、ファンタジー小説のなかのキャラクター付けされた動物たちも、イメージの集合体である。そのイメージ=「想像と解釈」はどこから生まれてきたのだろう? パンダはなぜ人気者なのか。ヘビはなぜ気味が悪いのか。タヌキやキツネが「化かす」のはなぜか。

 様々なイメージは、ヒトと野生動物や家畜との関わり合いの歴史に根ざしている。ではヒトの未来には、また新たなイメージを生んだり、共有することができるほど豊かな動物たちとの関わりがあり得るだろうか。そんな関わりを維持してゆくにはどうしたらいいのだろう。ぜひ著者の考察に触れてみてください。(イースト・プレス、1700円)

読売新聞
2018年6月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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