【児童書】『おかっぱちゃん』ブージル作 旅先の出会いが生んだ色使い
[レビュアー] 本間英士
おかっぱちゃんはお絵描きが大好きな女の子。ある日、森で出会ったクマさんから「にがおえ かいて」と頼まれた。絵描き歌を歌って絵を描くと、傘にもなる「大きな緑の葉っぱ」をお礼にくれた。その後、ワニさんら他の動物からも似顔絵をお願いされ、いろいろなものをもらっていく。
作者のブージルさんは横浜市生まれのイラストレーター。世界各地を旅行し、出会った人たちの似顔絵を描いてきた。担当編集者によると、留学先のメキシコで「似顔絵屋さん」を開き、お礼にお菓子や赤ちゃんからのキスをもらった経験が、初の絵本となる本書に生かされているという。
個人的に好きな場面は、おかっぱちゃんがドーナツ売りのキツネさんの似顔絵を描くところ。たくさんの動物たちが「何だろう?」と集まってくる描写は読んでいてワクワクするし、ドーナツもおいしそうだ。
緑に黄色、ピンクと、中南米のカラフルな街並みを見ているかのような独特の色使い。ページをめくっているだけで、楽しい気持ちになれる。(本間英士)(あかね書房・1300円+税)