【児童書】『おかっぱちゃん』ブージル作 旅先の出会いが生んだ色使い

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

おかっぱちゃん

『おかっぱちゃん』

著者
Boojil [著]
出版社
あかね書房
ISBN
9784251099099
発売日
2018/04/30
価格
1,430円(税込)

【児童書】『おかっぱちゃん』ブージル作 旅先の出会いが生んだ色使い

[レビュアー] 本間英士

 おかっぱちゃんはお絵描きが大好きな女の子。ある日、森で出会ったクマさんから「にがおえ かいて」と頼まれた。絵描き歌を歌って絵を描くと、傘にもなる「大きな緑の葉っぱ」をお礼にくれた。その後、ワニさんら他の動物からも似顔絵をお願いされ、いろいろなものをもらっていく。

 作者のブージルさんは横浜市生まれのイラストレーター。世界各地を旅行し、出会った人たちの似顔絵を描いてきた。担当編集者によると、留学先のメキシコで「似顔絵屋さん」を開き、お礼にお菓子や赤ちゃんからのキスをもらった経験が、初の絵本となる本書に生かされているという。

 個人的に好きな場面は、おかっぱちゃんがドーナツ売りのキツネさんの似顔絵を描くところ。たくさんの動物たちが「何だろう?」と集まってくる描写は読んでいてワクワクするし、ドーナツもおいしそうだ。

 緑に黄色、ピンクと、中南米のカラフルな街並みを見ているかのような独特の色使い。ページをめくっているだけで、楽しい気持ちになれる。(本間英士)(あかね書房・1300円+税)

産経新聞
2018年6月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク