『うかれ女島』
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『うかれ女島』花房観音著
[レビュアー] 産経新聞社
「私が死んだことを伝えて欲しい」。売春宿のある孤島で女衒(ぜげん)として働き、死んだ母が残した願い事を、息子の大和がかなえようとするところから物語は始まる。
大和が母の死を伝える手紙の相手は保育所経営者、主婦、女優、一流企業のOLで、いずれも島にいたことがある女性だ。4人のうちOLはある事件で既に死亡。その後輩OLと他の3人が、それぞれの過去と向き合っていく。
母の仕事上の名前の意味、母の死の真相、謎めく大和の恋人…。ミステリーの要素もはらみながら登場人物がつながっていき、驚きのラストに導く。異色作家の意欲作。(新潮社・1800円+税)