「開運」の仕組みは論理的に説明できる? 運を武器にする方法とは

レビュー

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運の技術

『運の技術』

著者
角田陽一郎 [著]
出版社
あさ出版
ISBN
9784866670720
発売日
2018/06/15
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「開運」の仕組みは論理的に説明できる? 運を武器にする方法とは

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

TBSテレビで多くの番組を手がけたのちに独立し、現在はさまざまな番組プロデュースやラジオMCなどを行っているというのは、『運の技術 AI時代を生きる僕たちに必要なたった1つの武器』(角田陽一郎著、あさ出版)の著者。そんななかでも異色の仕事が、2017年に開局した『占いTV』というネット動画配信サービスなのだそうです。

占いをする人の大半は「開運」に期待しているわけですが、その言葉には「いかがわしい、うさんくさい、非科学的だ」と言ったイメージがつきまといます。しかし、それを承知のうえで、著者はこう主張するのです。

「開運」の仕組みは論理的に説明できます。 なぜなら運とは、他人や外部環境を“利用”しながら、自分で“切り開くもの”だからです。自分ひとりだけでがむしゃらに頑張って手に入れるものでもなければ、完全な他力本願・完全な神頼みで手に入れるものでもありません。 (「はじめに」より)

たとえば困難が訪れたときにも、ただがむしゃらにがんばるのではなく、フレキシブルな発想で、ときには自分以外のものを利用しながら、ちゃっかり目的を達成する。それこそが開運につながる心の持ち方、ものの見方・考え方だというのです。

つまり「開運」を謳っているとはいえ、著者の考え方は一般的なそれとは少し異なっているということ。事実、本書のことも「スピリチュアルな精神論やオカルトの類いとは距離を置く、いわば『開運の実学』を記した『運の技術』の本。実用書、テクニック集のようなもの」だと定義づけています。

第4章「誰でも運をつかめる開運テクニック」のなかから、いくつかの考え方を抜き出してみることにしましょう。どれも著者が普段から使っているものであり、誰にでも簡単に使えるものでもあります。

連絡は早めに、決定は遅めに

スケジュール管理は社会人の必須事項。テレビ業界には特にシビアなイメージがありますが、著者はロケの段取りはギリギリまで決めないのだとか。物事を早々に固めてしまうと、バッファや余裕がなくなり運を呼び込めないというのです。理由は、「想定の範囲」を自ら狭く限定してしまうことになるから。

決断することが勇気だとは言われがちですが、実は決めないことのほうがすごく勇気がいる。でも、それが運を呼び込むのです。(187ページより)

バッファ、余裕、遊びなど、そうした「空き」部分に、企画やキャスティングや編集といった、おもしろくなる要素があとから入り込んでくるもの。逆にいえば、そうしたバッファがないと「運」が入り込めない。だから、いつも空けて置かなければならないのだそうです。そして、そのことを解説するために、著者は本棚を引き合いに出しています。

いま持っている本がぴったり全部入るサイズの本棚を買ってしまったとしたら、これから買う新しい本が1冊も入らなくなります。その結果、新しい本を買うことを躊躇するようになってしまうかもしれません。そこで、あらかじめたっぷり余裕のある大きな本棚を買うべきだということ。いわば「運」を入れられる場所を残しておくべきだという考え方です。

ただし現実問題として、仕事で物事をギリギリまで決めないと、周囲や先方をやきもきさせることにもなってしまいます。そこで大きな意味を持つのが、「連絡は早めに、決定は遅めに」

決まってから内容を連絡するのではなく、「まだ決まっていません」と早めに連絡すればいいということ。多くの場合、仕事で人が怒るのは、「決定していないからではなく、「連絡がない」から。つまり早い段階で「すみません、まだ決まっていないんです」と連絡を入れておくだけで、大部分の怒りは防ぐことができ、決定するまでの余裕を稼ぐこともできるというわけです。(186ページより)

声は大きく。第一声に注意する

声が大きいということは、仕事においてとても大切なこと。テレビ業界でも同じで、収録前に「5秒前です!」と言ったとき、その場にいる全員にはっきり聞こえたほうがいいに決まっているはず。それだけで、もう仕事のレベルが高いということになるわけです。

もちろん、収録の場だけではないはずです。意思疎通がうまくいっているかどうかが仕事の質を大きく左右する以上、あらゆる局面において声が大きいほうがいいということ。そうすれば、話しはじめの第一声から、言葉がはっきりと相手に伝わるからです。

特に重要なのは、第一声、すなわち主語に注意を払うこと。会話の主語が誰であるかを明確にしておく必要があるということです。主語さえはっきり伝われば、途中が不明瞭でも推測でなんとかなるものだから。

ところが大抵の場合、一言目は緊張もあって、声は小さくなりがちで、滑舌も悪くなりがち。でも、それではみすみすチャンスを、運を逃してしまうことになるというのです。

これはビジネスの商談でも、番組の打ち合わせでも、なんでもそうです。 滑舌はどうしようもないところがありますが、声を大きくすることは誰でもできますし、第一声に注意することもできるでしょう。とにかくまず大事なのは、大きい声であること。(204ページより)

「声は大きく! 第一声に注意する!」ということは、開運話術の基本中の基本だと著者。声の大きさは、開運の度合いに比例するといってもいいくらいなのだそうです。(202ページより)

ゴールをイメージしてから話をスタートさせる

話の構造や組み立て、つまりは「大事なことをいつ話すか、どういう順番で話すか、どこに持ってくればもっと伝わるか」ということは、とても重要だと著者は強調しています。

たとえばダメな営業マンの場合は、客先が渋谷だったとすると、会議室に通されるなり「やっぱり渋谷って超混んでますね」などと、商談になんの関係もない話をしばらくしゃべってから、唐突に本題に入ったりするのだそうです。でも、自分ならそうはしないと著者はいいます。

落語には、題に入る前の軽い世間話「マクラ」というものがありますが、うまい人はマクラでこすったトピックを噺の後半に差し込んで、客を「おおっ!」と唸らせます。「さっきの話、ここでつながるのか!」と。 僕は落語家ではないので、そこまで小噺を巧みにはしゃべれませんが、もし「渋谷が超混んでる」という話を最初にするなら、本題のなかに必ずそれと関係した、「渋谷のヒカリエで今度イベントをやる」とか「駅前再開発で渋谷に来る人の年齢層が変化した」といった話を入れます。(209ページより)

いってみれば、最初のトークを「演目のフリ」として機能させるということ。『フリ』が効いて入れば、「オチ」も鮮やかに決まるもの。「なるほど、さっきの話はここに関係していたのか」と、相手の関心を高めることができるわけです。つまり、雑談は雑ではいけないということ。雑談にも意味があるということです。

とはいっても、しゃべることを先に決め込んでおく必要はなし。決めるのは「オチ」だけで、つまりは最初の「渋谷は混んでる」トークがどこに行き着くかが大切だという考え方です。

そこで意識したいのは、いちばん伝えたい大事な「画」だけを強く心に留め、あとはフリースタイルで話すこと。そうすれば話は無意識のうちに、その「画」に向かって力強く突き進んでいくはずだといいます。(207ページより)

たしかに書かれていることの多くは、一般的な「開運術」とは異なっており、それどころか開運とは関係がなさそうなことも少なくありません。しかし逆にいえば、その実用性が本書の魅力なのかもしれません。

そういう意味では、開運を「いかがわしい、うさんくさい、非科学的」だと思っている人にこそ向いた内容だとも言えそうです。

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2018年6月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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