フリーランスなのに9時~17時勤務!? 人気作家が語る「人に振り回されない」時間管理術

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おもてなし時空ホテル

『おもてなし時空ホテル』

著者
堀川 アサコ [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784101801292
発売日
2018/06/28
価格
605円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

フリーランスなのに9時~17時勤務!? 人気作家語る「人に振り回されない」時間管理術

人気作家が実践する時間の使い方とは
人気作家が実践する時間の使い方とは

 あなたはちゃんと、定時で家に帰れていますか? 会社にいると、なかなか思い通りに時間を使えず、気付いたらこんな時間……なんてことになりがちです。

 人気シリーズを5作品も同時並行して動かし、旺盛な執筆活動をされている作家の堀川アサコさんはこの6月末にも新作『おもてなし時空ホテル~桜井千鶴のお客様相談ノート~』を上梓されたばかり。昼夜問わずのお忙しさかと思いきや、仕事は9時から17時まで、土日はきっちり休んでいます(!)とのこと。そのスケジュール管理能力、是非見習いたい! ということで、堀川さんの時間術についてお話しを伺いました。

ポイント1 仕事を「頭を使う仕事」と「使わない仕事」とに切り分ける。

 一つの作品を作るとき、小説のストーリーラインや登場人物を固めていくプロット作りと、それを実際に小説にしていく執筆との、大きく分けると二つの工程があります。プロット作りには大変頭を使うのですが、私はプロットをかなり細かく書き上げるので、実際それを小説の形にする執筆作業はあまり頭を使いません。
 私はその二つを思い切って一年の内の前半と後半に振り分けることにしました。1月4日を仕事始めにして、その日から8月ぐらいまでの前半を執筆期、それ以降をプロット作成期にしたのです。
 作家に限らずフリーランスの人間というのは、自分が提出したものをチェックしてもらう「待ちの時間」に振り回されます。作家の場合は自分のプロットなり原稿なりを編集者にチェックしてもらう時間の終わりが読めず、そこでスケジュールが狂いがちです。
 なので一つの作品のプロットを作成して、チェックしてもらってから執筆を始めるという風な相手任せのスケジュールにせず、いくつもを同時並行的に行うことで頭を切り替えるのことにしました。プロット時期は常に頭を使っていくつも話を考えているので無駄な時間はなく、執筆時期はひたすら手を動かしているのでやはり無駄な時間はありません。そして一つ書いて手を離してしまえば、後日チェックが戻ってきたときに頭が冷えて(自分の忘れっぽさも利用して)客観的に作品を見られるようになっているので、それも利点があると思います。

ポイント2 昨日と同じ事をするためにスケジュールを立てる

 私の持論ですが、一日のスケジュールがころころ変わって、毎日組み立てないといけない、というのはとてもストレスのかかることだと思います。
 デビューした2007年の頃はまだ会社勤めをしていたのですが、いわゆるそこはブラック企業でした。人間関係は最悪で、朝7時から働いて、深夜1時ぐらいにゾンビみたいになりながらヨロヨロと蒲団に潜り込んで寝たり、変な時間に御飯を食べたり。人に振り回されるばかりでいつも疲れが取れずもう、本当に辞めたい辞めたいと思っていたんです。でも、度胸がない私は専業作家になるという勇気は持てずにいました。
 けれど2009年にその会社が潰れてしまいまして。当時44歳だった私は、いまさら再就職も難しいだろう、だから仕方が無いんだ! と開き直って胸を張って専業作家になることにしました。9時~17時で働くというスケジュールは、前向きな理由というよりは、会社勤めしている人たちと違って、なんだかちゃんと働いてない感じがする自営業という自分の立場の後ろめたさから選んだことです。
 兼業時代、不規則に仕事をしていた時間を9時~17時の「就業時間」に置き換えて、御飯を食べる時間、お風呂に入る時間、掃除をする時間等々にすべて「定時」を作りました。家族の世話だとか、避けられない番狂わせもあり、それでその日のスケジュールがズレたり崩れることはありますが、次の日はそれを切り替えて毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝ます。全てのことをルーティーンに落とし込むと、考えなくていいから体が楽なんですよ。
 土日は仕事しないと決めて、土曜日は念入りに部屋の掃除をして、終わったら楽しみの読書、日曜日は、読書をすることがやはり多いですが、特にやることは決めず、体を休めています。

 スケジュールをきっちり定めてそれ通りに仕事をすることで、結果的に効率の良い仕事をされている堀川さんの仕事ぶり、いかがでしたでしょうか。ここまでストイックになるにはなかなか難しいかもしれませんが、皆さんのライフスタイル改革の参考にしてはどうだろうか。

堀川アサコさんの最新刊『おもてなし時空ホテル~桜井千鶴のお客様相談ノート~』の試し読み公開中。
https://www.bookbang.jp/article/555332

新潮社
2018年7月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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