『ヤングケアラー』 澁谷智子著

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ヤングケアラー―介護を担う子ども・若者の現実

『ヤングケアラー―介護を担う子ども・若者の現実』

著者
澁谷 智子 [著]
出版社
中央公論新社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784121024886
発売日
2018/05/21
価格
864円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『ヤングケアラー』 澁谷智子著

[レビュアー] 森健(ジャーナリスト)

 ヤングケアラーとは、家族に介護や入院などのケアを要する人がいるために、家事や家族の世話を行っている18歳未満の子どものこと。

 昔の子どもは家の世話をしたではないかという意見もあろうが、いまは通用しない。家族のケアのせいで、一般的な学校生活や人間関係が維持できなくなると、自信も失われ、大学進学など将来への希望も失われる。要は、その後の人生を左右するほどの大きな重荷になっているのだ。

 新潟県南魚沼市のある子は両親が病気で祖父が食料の買い出しをしていたが、祖父が運転できなくなると自転車を40分こいで買い物をし、多様な家事をするようになった。だが、3カ月でその生活はもたず、不登校になった。

 また、別のある女の子は、祖父、父が倒れた上、祖母は排泄(はいせつ)の世話も必要という環境におかれた。祖母は悪口を言ったり、夜中に起きたりと手がかかったが、母はその子を頼った。その子は介護殺人という話も「他人事ではない」と思ったという。

 2025年には大介護時代が来る。そのケアを担う子どもにも配慮が求められる。(中公新書、800円)

読売新聞
2018年7月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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