<東北の本棚>ステップ示し手順指南

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<東北の本棚>ステップ示し手順指南

[レビュアー] 河北新報

 東日本大震災で被災した宮城県山元町出身で、故郷の復興を目指して情報通信技術(ICT)によるイチゴのハウス栽培を手掛ける農業生産法人を設立した著者が、就農の手順を伝える。
 農業を始めるための六つのステップを紹介する。まず「農業をやる目的を言葉にする」。著者は故郷を復興させたいという思いを持ち、世界に誇れるプロダクトを持つ場所として有名にし、雇用をつくり、人を呼び込むことを目的に始めたという。
 次に「自分が望む生活スタイル(収入、時間の使い方)を決める」で、3番目は「作物・作型(育て方、こだわり)を考える」。これら三つのステップが特に重要とする。
 作物・作型の選び方の考え方として(1)農業をやる目的(2)自分が好きなもの(3)理想の生活-などのパターンを列挙。その上で「マーケットの動向や競合他社の動き、人口動態を正確に把握すことも大事」と述べる。
 著者はそのほか、就農前に手本となる農業経営者を見つけて生活や収入の目安を聞くことも大切と助言。実際に新規就農したモデルケースも載せる。
 著者は1977年生まれ。2012年に農業生産法人「GRA」を設立し、一粒1000円のイチゴを生み出した。
 朝日新聞出版03(5540)7793=1620円。

河北新報
2018年7月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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