『さらば、GG資本主義』
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GGとの決別こそが日本を立ち直らせる
[レビュアー] 小飼弾
投資信託には2種類ある。銘柄を見ないパッシブファンドと、ファンドマネージャーが銘柄を見るアクティブファンド。パッシブファンドは銘柄を見ない分、自動化も容易で手数料も抑えられ、ファンドマネージャーのチョンボとも無縁。銘柄を選びたければ投資信託を通さずとも個別に売買できるのだし、投資信託を買うならパッシブ以外ありえない、永らく選者もそう心得ていた。
しかしパッシブファンドにはパッシブであるが故に避けられない欠点がある。ダメ企業にも自動的に投資してしまうのだ。市場が健全であれば、市場がダメ企業を排除することでファンドも健全化するが、そうでなければ市場の歪みも丸抱えしてしまう。今や日本最大のアクティブファンドとなった「ひふみ投信」のレオス・キャピタルワークスの舵をとる藤野英人にそう指摘されて雷に打たれた思いがした。インデックスを上回る運用成績を上げて日本一となった者の言葉は重い。
では日本の市場はどうどれだけ歪んでいるのか? 彼の著した『さらば、GG資本主義』がそれに答えてくれる。GGとは爺、すなわち老害。70代になってなお先輩が君臨する社会。そのGG先輩たちに忖度しつづけた挙句の果てが、今のシャープであり東芝でありそして日本ではないか。著者は言う。「すべては『好き・嫌い』から始まる」と。まずは素直になろう。自分の内なる声に背を向けてGGの言う事に従っていては、始まるものも始まらないのだから。