『コンビニ外国人』 芹澤健介著

レビュー

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コンビニ外国人

『コンビニ外国人』

著者
芹澤 健介 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784106107672
発売日
2018/05/17
価格
821円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『コンビニ外国人』 芹澤健介著

[レビュアー] 森健(ジャーナリスト)

薄給で劣悪な労働環境

 コンビニや飲食店など、外国人が働く風景はもはや珍しいものではない。それもそのはず、在留外国人全体は約247万人という数で、外国人労働者の数は10年で2.6倍に増加、128万人に及ぶ。コンビニなら大手3社だけで4万人だという。身近な存在だが、どれだけ彼らのことを知っているだろうか。本書はそんな外国人労働者の実態について記したものだ。

 日本ではいわゆる「移民」は認めていないが、ベトナム人とネパール人はこの3年でほぼ倍増している。これだけ働く外国人が増えているのは、おもに二つの制度が背景にある。

 一つは、海外の人に技術を習得してもらい、母国の経済発展に役立ててもらうという「技能実習生」。実際は「各方面の労働力不足を外国人労働者が埋めるという単なる人材供給制度」だという。もう一つは、原則的に週28時間まで働ける「留学生」。これも日本語学校を経て大学等に進学するという建前だが、「学校というよりただの人材派遣会社になりさがっている」とも言われている。どちらも制度を悪用する業者がおり、若い外国人が薄給で劣悪な労働環境で働かされることになっている。

 こうした受け入れ制度を著者は問題視し、賢明な留学生からの厳しい言葉も紹介する。東大の大学院生は「本来は外国人の労働力をうまく使わないと経済成長できませんが、外国人はきっと増えません。なぜなら日本は外国人労働者の受け入れ制度が整っていません」と語る。

 著者は終盤、共生が進む東京都新宿区や広島県安芸高田市なども紹介しつつ、「外国人労働者を受け入れるべきか」と悩む段階ではなく、「“その先”のことを考えなければならないと思うようになった」と記す。目下、外国人労働者は人手不足という短期的な視点で語られがちだが、もはや長期で共生をベースに考える必要があるということだろう。そう認識を改めると、コンビニを見る視線も変わるかもしれない。

 ◇せりざわ・けんすけ=1973年、沖縄県生まれ。横浜国立大卒。ライター、編集者、構成作家。

 新潮新書 760円

読売新聞
2018年8月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加