お金持ちは朝イチで体重計に乗る? 決して変わることのない「お金のルール」とは

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これからの時代のお金に強い人、弱い人

『これからの時代のお金に強い人、弱い人』

著者
サチン・チョードリー [著]
出版社
フォレスト出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784894519886
発売日
2018/07/04
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

お金持ちは朝イチで体重計に乗る? 決して変わることのない「お金のルール」とは

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

これからの時代のお金に強い人、弱い人』(サチン・チョードリー著。フォレスト出版)の著者は、母国インドのみならず、アジア各国でも数多くの事業を成功に導いてきた人物。日本においてはパナソニック、アクセンチュア、日産、NEC、富士通、横河電機、三井住友銀行コンサルティング、神戸製鋼、JTB、東芝、日立など大企業での異文化経営・異文化戦略を指導する国際コンサルタントとして活躍しています。

以前、口ベタでも上手くいく人は、コレをやっている』という著作をご紹介したことがありますが、今回のテーマはずばり「お金」

仮想通貨やフィンテックなど新たな経済システムが急速に進んでいますが、どれだけ時代や環境が変わっても変わることのない「お金の不変のルール」があるという考え方に基づき、それらを21のキーワードによって提示しているのです。

20代でインドから日本にやってきたとき、何もかもがうまくいきませんでした。お金も人脈もコネもなく、カタコトの日本語しか話せないインド人には、仕事も暮らしも苦労の連続でした。

そんな私を大きく買えることになったきっかけは、たまたま一時帰国していたインドで、印僑大富豪に面会する機会に恵まれたことでした。このときに知った、マハラジャ時代から広く知られている考え方が、私の人生を変えていったのです。

2014年9月、このときと同じくらい、大きな転機となる出会いがありました。世界三代投資家の一人と言われる、ジム・ロジャーズさんとの出会いです。

30代で巨万の富を得て、バイクや車で世界一周を二度もしている、世界に知られる伝説の投資家です。(中略)

何度もジム・ロジャーズさんと話をしていく中で、私はさまざまなインスピレーションを得ることになりました。

これまで私は何冊も本を出していますが、ジムさんにお会いして以来、「これこそ、ぜひ日本の人々にしってもらうべきことなのではないか」という思いがじわじわと沸き上がってきたのです。

こうして生まれたのが、本書です。 お金に強くなりたい人のための1冊です。(「はじめにーー人は変わることができる。だから、自分を信じる」より)

「マインド」「習慣」「学び」「行動」という4つのテーマに沿って話が進められる本書から、きょうは第2章「『習慣』を変えるーー『お金がない』が変わる」中の「Keyword 6 自分をマネジメントする」に焦点を当ててみたいと思います。

自己管理をするために、持っておきたいこと

多くの人が「自分を変えたい」「もっといい方向に、よりよい方向に持っていきたい」と思っているもの。とはいえ人は、簡単に変われるわけではありません。そこで多くの人が、自分を変えていくためにひとつの方法を取り入れているのだそうです。とりわけ成功者の多く、お金持ちの多くがやっているのだとか。

それは、「習慣を変えていく」ということ。日々やることを少しずつ変えていくことによって、生活を変えていく。生活を変えていくことで、自分を変えていくという考え方です。

まず、成功者やお金持ち、お金に強くなれた人には共通点があるのだと著者は言います。それは「自分を管理できている」ということ。生き方や動き方、考え方に「管理」という発想が入っているというのです。自分がおかしな方向に行かないようにマネジメントし、そのための習慣を持っているということ。

事実、投資アカデミーを通じて多くの人に会ってきた著者は、お金に弱いままの人に対して、「自分の管理ができていない」という印象を持っているのだそうです。しっかりと自分をコントロールできていなくて、なんとなく生きているだけだというわけです。

象徴的なのが、健康に注意しているかどうかです。 人間は、体が資本。健康を損なってしまったら、何もかもうまくいきません。 それがよくわかっているから、成功している人、お金を持っている人は、自己管理をします。自分をマネジメントして、健康に留意していくわけです。(中略) 私自身も、健康にはとても気をつけています。自己管理の基本中の基本だと思っています。だから、習慣として1日のスタートは、体重計に乗るところから始まります。(70ページより)

ここで「朝イチで体重計に乗る」という話が出てくるとは、ちょっと予想外だったかもしれません。が、それには明確な根拠があるようです。著者にとって体重は健康のバロメーターであり、自分マネジメントの象徴。そして体重が増えていれば、食事の内容を変えていくのだそうです。誘惑があっても決して食べすぎないのは、毎日しっかりと管理しているからだということ。(68ページより)

習慣化させる、たった1つの切り札

管理やマネジメントは大変そうにも思えますが、それは難しいことではないと著者は断言しています。なぜなら、ルールを決め、それを習慣にしているだけだから。よい習慣をルール化してしまえば、あとはそれを守っていくだけ。することが決まっておらず、その都度、考えなければならないというほうが、よほど面倒で大変だということ。

それどころか、ルールのない状態に甘んじていると、そこから悪い習慣が生まれてしまいかねないともいいます。やらないほうがいい習慣は、ルールを定めていないから、マネジメントができていないから生まれてしまうというのです。

お金に強くなれた人たちは、自己管理や習慣をとても大切にしているものなのだといいます。なぜなら、よい習慣が、自分をよい方向に変えていってくれることを知っているから。そして、そのほうが時間を有効に使うこともでき、やらないといけないことを考える無駄な時間もいらなくなるから。

著者は朝、体重計に乗って以降も、ほとんどやることを決めているのだといいます。そして、そのとおりに淡々とこなしていくというのです。体重計に乗ったあとは、うがいをし、コップ一杯の水を飲むーー。そんなふうに、やることを着々と進めていくのは、それが最も効率的な時間の使い方だから。(71ページより)

「忙しい」がなくなる秘策

著者いわく、お金に弱いままの人の特色のひとつが「忙しくて時間がない」と口にすること。事実、投資アカデミーでも、必要な準備ができていなかったり、当日に遅刻してしまったりする人がいるのだそうです。しかし準備ができていなければ、万全の態勢でコンサルティングを受けることなど不可能。

だから、得られたはずのお金を増やす方法を得られなくなってしまう可能性が高まることに。結果的には、自分が損をすることになるわけです。

一方、お金に強くなれる人は事前準備をしており、しかも余裕を持ってやっているといいます。たとえば北海道や沖縄など遠くから投資アカデミーに訪れる人は、1日前に来て決して遅れないように予定を組んだりしているというのです。

それができているのは、日ごろから時間管理を習慣づけ、しっかり管理ができているから。だから、なににどのくらいの時間をかけるべきか、しっかり把握できているということ。

同じように、「どうすれば時間を捻出することができるか」もわかっているもの。いろいろなものを効率化したり省略したりして、時間をつくっているわけです。たとえば著者の場合だと、食事をしても二次会には行かないのだとか。なぜなら、そういうルールを決めているから。逆にいえば、それだけのこと。

だいいち、いくら忙しいといっても、時間は誰にでも同じだけ与えられているものです。だとすれば、使い方の問題。朝ごはんを食べる時間、通勤する時間など、日常生活で行なっていることをほんの少しずつ削ることで、20分、30分の時間は十分にできるということ。うまくいく人は、それをやっているというのです。(73ページより)

貯蓄や投資の額は、先に決めておく

著者にもかつて営業をやっていた経験があるそうですが、セールスで成績を出している人と、そうでない人の違いもまた、無駄を減らしているかどうかだといいます。成績を出せる人は徹底的に自分の時間を管理し、使うべき時間と使わない時間を分けているというのです。

それだけでなく、使うべき時間も効率化していくもの。自分と時間を徹底的にマネジメントすることができれば、時間はもっともっと生み出すことができるということ。そして、それは「お金の管理」も同じだと言います。典型的なのが、次の違い。

お金に強い人は、先に貯蓄や投資の額を決めようとする

お金に弱い人は、残ったお金を貯蓄や投資に回そうとする

(75ページより)

お金に強くなれた人は、お金を管理しているもの。それは、先に貯蓄や投資の額を決めてしまうこと。そうすることを管理しているわけで、よい習慣は、お金に強くなる道でもあるということ。(74ページより)

本書に書かれていることに従って、「いきなり全部、変えようとしなくていい」と著者は記しています。一度に変えようとするからつらくなるのであって、少しでも変えやすいところから、少しずつ変えていけばいいということ。だからこそ、ぜひ気楽な気持ちで読んでみていただきたいと思います。

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2018年8月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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