『兄ちゃんは戦国武将!』
- 著者
- 佐々木ひとみ [著]/浮雲宇一 [イラスト]
- 出版社
- くもん出版
- ジャンル
- 文学/日本文学、小説・物語
- ISBN
- 9784774327693
- 発売日
- 2018/06/22
- 価格
- 1,430円(税込)
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<東北の本棚>夢を持つ大切さ伝える
[レビュアー] 河北新報
小学5年の春樹と、おもてなし集団「杜乃(もりの)武将隊」の一員として活動する兄・夏樹を通して描く心の成長の物語。東日本大震災を背景に置き、夢を持つこと、一生懸命に生きることの大切さを伝える。
物語は、東京で暮らす春樹と両親のもとに伊達政宗から手紙が届くことから始まる。実は差出人は音信不通になっていた夏樹だった。夏樹は大学を中退して芝居を学び、宮城県や仙台市をPRする武将隊で政宗を演じているらしい。
幼いころから兄が大好きだった春樹は「大学を卒業したら帰ってくる」という約束を破った兄が許せず、とっちめてやろうと仙台に駆け付ける。最初は兄の演武が恥ずかしく、見るのも嫌だった春樹。しかし、兄を突き動かしている本当の気持ちを知ると、その目は大きく変わっていく-。
感受性豊かな兄弟の心の交流に、愛する家族を失った被災者の思いが交錯する。ちょっぴり切なくて、じんわりと温かい物語に仕上がった。
作者は茨城県生まれで仙台市在住。2010年に「ぼくとあいつのラストラン」で椋鳩十児童文学賞を受賞した。本作執筆では実在する仙台市の観光PR集団「伊達武将隊」を丹念に取材し、メンバーの思いを物語に編み込んだという。
くもん出版03(6836)0301=1404円。