『地球MAPS 世界6大陸 発見の旅』 ナショナルジオグラフィック編

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『地球MAPS 世界6大陸 発見の旅』 ナショナルジオグラフィック編

[レビュアー] 坂井豊貴(経済学者・慶応大教授)

 世界各地の地図を集めた地図帳である。ただし普通の地図はごく一部だけ。それ以外は山の高さが標高ではなく人口密度で描かれていたり、時代が5億年前だったりする。古代の遺跡や、珍しい生物たちを並べたページもある。世界は自分の知らないことだらけだ。

 圧巻なのは人工衛星から各地を撮影した夜間の地図だ。都市部は夜でも明るく輝いているが、貧しい地域は人がいても暗い。たとえば韓国は夜でも大部分が明るいが、38度線を隔てた北朝鮮は真っ暗である。宇宙飛行士は「宇宙から国境は見えない」と言うが、そうとも限らないのだ。

 つまりこの地図帳は、理科的であると同時に、社会的である。ページをめくるたびに新たな世界の実相が目に飛び込んでくる。自分のいる「いま、ここ」が特殊なものであることを、幾重にも思い知らされる。竹花秀春訳。

 日経ナショナルジオグラフィック社、2800円

読売新聞
2018年9月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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