『骨を弔う』 宇佐美まこと著

レビュー

5
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骨を弔う

『骨を弔う』

著者
宇佐美 まこと [著]
出版社
小学館
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784093864985
発売日
2018/06/28
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『骨を弔う』 宇佐美まこと著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 仲良しの小学生グループが、学校の理科準備室にあった骨格標本を山のなかに埋めた。この手間のかかる悪戯(いたずら)には、威張りくさった担任教師にひと泡吹かせてやるという痛快なウラがあった。それから三十年後、土中から古い骨格標本が掘り出され、地方紙に「人騒がせなバラバラ事件だ」という小さな記事が載る。それを見たかつての仲良しグループの一人、家具職人の本多豊は、記憶にある場所とその発掘現場が異なることに戸惑い、「自分たちが埋めたのは、本当にただの骨格標本だったのだろうか」という疑念をも抱くようになる――

 開巻、これがつかみと謎の提示だ。著者はホラーの書き手でもあるので、正攻法のミステリーの本書でも、生者に取り憑(つ)く「過去という幽霊」の描き方が巧(うま)い。大人になって仕事や家庭を持ち、それぞれの人生を歩んでいるかつての仲間たちだが、その生活にも幸不幸があり、秘密もあれば悩みもある。中盤までそのあたりをじっくり読ませてから、終盤の解明へと引っ張ってゆく手つきも確かだ。できるだけ事前情報を入れずに、一気読みをお勧めしたい。

 小学館、1600円

読売新聞
2018年9月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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