『方言でたのしむイソップ物語』 安野光雅著

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方言でたのしむイソップ物語

『方言でたのしむイソップ物語』

著者
安野 光雅 [著]
出版社
平凡社
ジャンル
文学/外国文学、その他
ISBN
9784582837827
発売日
2018/07/13
価格
1,728円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『方言でたのしむイソップ物語』 安野光雅著

[レビュアー] 宮下志朗(仏文学者・放送大特任教授)

 「イソップ物語」は一五九三年に、日本で最初に翻訳・出版されたヨーロッパ文学。宣教師が日本語を学び、布教するための読本として、天正遣欧使節が持ち帰った印刷機・活字で刷られた。音読すると、「おじゃる」「おりゃる」といった口調が心地よい。

 この「キリシタン版イソップ」を愛読している画家の安野さん。みんなで各地の方言に翻訳したらと提案したものの、結局は自分ですることに。かくして、故郷の津和野弁などで「翻案」した楽しさ満点の本が生まれた。第一話「狼(おおかみ)と羊の譬(たと)えの事」は、「あるところのね、川のそばにね、羊(ひつじ)がきて、そいから狼(おおかめ)もきて川の水を飲もうとおもうたらしいんじゃてー。狼は川上におってから、ほいから、羊の子は川の下のほうにおったんといね」と、なんともいい感じで始まる。自由奔放な安野さん、「烏(からす)と狐(きつね)の事」などの脱線ぶり、「下心」という寓意(ぐうい)・教訓の変身ぶりが愉快だし、挿絵も無論ユーモアたっぷりだ。

 「潜伏キリシタン」遺産が世界遺産に登録された。安野版イソップをきっかけに、原典の天草版イソップにも注目が集まらんことを!

 平凡社、1600円

読売新聞
2018年10月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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