<東北の本棚>細やかな植物画で説明

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木の実のたんけん

『木の実のたんけん』

著者
おくやまひさし [著]
出版社
少年写真新聞社
ISBN
9784879816450
発売日
2018/09/22
価格
1,980円(税込)

<東北の本棚>細やかな植物画で説明

[レビュアー] 河北新報

 身近な植物を紹介する「ぼくの自然観察記」シリーズの第4弾。秋田の野山が遊び場だったという著者が、里山や庭先、公園などで目にする木の実を紹介する。散策のお供にすれば、ひと味違った実りの秋を堪能できそうだ。
 カリンにヤマモモ、アケビにユスラウメ。美しい色彩と細密なタッチで描かれた植物画は、眺めるだけで楽しい。それぞれの特徴や名前の由来など、写真を織り交ぜて分かりやすく説明しているので、子どもにも分かりやすい。
 公園によく植えられているマテバシイは大粒のドングリがなる。皮を砕いて実をすりつぶし、クッキーにするとおいしい。山の樹木に絡みつくサルナシは、キウイによく似た実を付ける。熟れるとよい香りを漂わせ、人間はもちろん、猿も喜んで食べる。
 おいしい実だけではない。黒く熟すドクウツギは日本三大毒草の一つ。生け垣で見かけるイチイの赤い実は、甘いが種に毒がある。自然の恵みを楽しむには、正しい知識を持つことが必要だと教えてくれる。
 著者は1937年横手市生まれの画家・自然愛好家。自然教室での指導も行っている。著書に「里山図鑑」「学校で育てる植物のずかん」(いずれもポプラ社)など多数。
 少年写真新聞社03(3264)2624=1944円。

河北新報
2018年10月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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