<東北の本棚>細やかな植物画で説明
[レビュアー] 河北新報
身近な植物を紹介する「ぼくの自然観察記」シリーズの第4弾。秋田の野山が遊び場だったという著者が、里山や庭先、公園などで目にする木の実を紹介する。散策のお供にすれば、ひと味違った実りの秋を堪能できそうだ。
カリンにヤマモモ、アケビにユスラウメ。美しい色彩と細密なタッチで描かれた植物画は、眺めるだけで楽しい。それぞれの特徴や名前の由来など、写真を織り交ぜて分かりやすく説明しているので、子どもにも分かりやすい。
公園によく植えられているマテバシイは大粒のドングリがなる。皮を砕いて実をすりつぶし、クッキーにするとおいしい。山の樹木に絡みつくサルナシは、キウイによく似た実を付ける。熟れるとよい香りを漂わせ、人間はもちろん、猿も喜んで食べる。
おいしい実だけではない。黒く熟すドクウツギは日本三大毒草の一つ。生け垣で見かけるイチイの赤い実は、甘いが種に毒がある。自然の恵みを楽しむには、正しい知識を持つことが必要だと教えてくれる。
著者は1937年横手市生まれの画家・自然愛好家。自然教室での指導も行っている。著書に「里山図鑑」「学校で育てる植物のずかん」(いずれもポプラ社)など多数。
少年写真新聞社03(3264)2624=1944円。