文化系コンビが語り尽くす2015年以前のヒップホップ

レビュー

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文化系のためのヒップホップ入門2

『文化系のためのヒップホップ入門2』

著者
長谷川町蔵 [著]/大和田俊之 [著]
出版社
アルテスパブリッシング
ジャンル
芸術・生活/音楽・舞踊
ISBN
9784865591750
発売日
2018/09/25
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

文化系コンビが語り尽くす2015年以前のヒップホップ

[レビュアー] 西田藍(アイドル/ライター)

 小学生の頃、映画『8Mile』を観てエミネムを聴いていたが、CD売り場は怖いという偏見によってそれ以上踏み込むことはなかった。音楽には疎いのだと言い続けてきたがそろそろ避けられなくなってきた。あまりにも、近い。アイドルになりたてのときに初めて連れて行かれたライブは“清純派ヒップホップアイドル”リリカルスクールだったし、仲良くなった同じアイドルオーディション出身の子はヒップホップユニット、チェルミコを組み、今年メジャーデビュー。NHKに特集されていたラッパーGOMESSくんとも知り合った。

 そのGOMESSくんも出演したテレビ朝日の人気番組『フリースタイルダンジョン』の放送開始は2015年。挑戦者がプロのラッパーたちとMCバトル(即興でラップをして戦う)を行うという内容だ。ピューリッツァー賞を受賞し、今夏フジロックフェスティバルでヘッドライナーとして待望の来日も果たしたケンドリック・ラマーの代表作である3rdアルバム「トゥー・ピンプ・ア・バタフライ」の発売も15年。この年をきっかけに、アメリカではそれまで以上にヒップホップがメディアや大衆から注目を浴びた。日本ではかつてないほど!

 本書では、著者2人が、年末に学生たちを前にその年のシーンを振り返る。ゲストにジャズ評論家の柳樂光隆氏を迎えた、現代ジャズとヒップホップについての鼎談も収録されている。一見遠いと思われがちだが、このふたつは現代においては相互に影響しあっているのだと、柳樂氏は詳細に解説する。特にキーポイントとなるのは、「ドラムのループ感覚」である。

 しかし、この本に収録されているのは12年から14年まで。本書は入門書というよりは、既に現在のシーンを心得た人が、「15年以前」を知るための深掘り本かもしれない。

 15年以降は、また「3」として刊行予定であるという。著者たちがどのように語るか楽しみだ。

新潮社 週刊新潮
2018年10月25日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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