『天皇はなぜ紙幣に描かれないのか』 三上喜孝著

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天皇はなぜ紙幣に描かれないのか

『天皇はなぜ紙幣に描かれないのか』

著者
三上 喜孝 [著]
出版社
小学館
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784093886390
発売日
2018/09/05
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

『天皇はなぜ紙幣に描かれないのか』 三上喜孝著

[レビュアー] 本郷恵子(中世史学者・東京大教授)

 明治時代の紙幣には、神功(じんぐう)皇后をはじめとして、古代の英雄的人物の肖像が描かれている。天皇を頂点とする国家建設をめざした近代日本が、その理想型を古代天皇制に求めたことが、紙幣のデザインにも反映していたのだと考えられる。だが天皇その人が紙幣に登場することはなかった。いったいなぜ?

 お堂の壁に残された、江戸時代初期の落書きを調査したところ、実は全国の寺院に同様の定型化した落書きが見られることがわかった。巡礼者によるリツイート?

 ユネスコの「世界の記憶」に登録された上野(こうずけ)三碑。そこに刻まれた文字を読み解くことから見えてくる、古代の男女観の本音と建前とは?

 断片的な史料をたどるうちに、思いがけない方向に道が開けてゆく。過去の生活の細部が照らし出され、さまざまな時代が互いに響きあっていることがあきらかになる。

 日本史なぜなぜ・日本史小ネタ集の類は数多いが、本書はそれらとは一線を画する。歴史学者としての著者の幅広さと、懐の深さに裏付けられた内容である。謎の答えは読んでみてのお楽しみ。

 小学館、1400円

読売新聞
2018年10月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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