<東北の本棚>生い立ちと仕組み解説

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文房具の解剖図鑑

『文房具の解剖図鑑』

著者
ヨシムラ マリ [著]/トヨオカ アキヒコ [著]
出版社
エクスナレッジ
ジャンル
芸術・生活/諸芸・娯楽
ISBN
9784767824390
発売日
2018/06/30
価格
1,760円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

<東北の本棚>生い立ちと仕組み解説

[レビュアー] 河北新報

 鉛筆、消しゴム、ペン、ノート、はさみ…。普段何げなく使っている文房具の多くは、ヨーロッパや米国で開発され、日本でより使いやすく、より便利に、よりかわいらしく進化を遂げた。文房具好きの著者2人が、定番から最新の商品まで計22種100点超を取り上げ、考え抜かれた技術や仕組み、おススメポイントをイラスト付きで解説する。文房具好きでなくても、思わず使ってみたくなる。
 鉛筆は、1560年代に英国で、羊飼いが良質な黒鉛の結晶を発見、紙で包んだりひもで巻いたりして筆記具として使ったのが起源だ。日本では、オランダ人から徳川家康に献上されたのが最初だとされる。鉛筆の芯は黒煙と粘土を混ぜ、円形に押し出したものを焼き固めて作る。黒鉛は中国産、粘土はドイツ産、木材は北米産が多く、国産の鉛筆でも材料は全て輸入品だという。紙に書けるメカニズムや持ち方、芯の硬さについての説明など、鉛筆の「なるほど」が凝縮されている。
 文房具の変遷に言及したコラム4編も興味深い。1980年代に進んだ「OA(オフィスオートメーション」やパソコンの普及、近年のペーパーレス化など、オフィス環境の変化によって文房具の出番は減ったが、それがより個性的で自分が仕事しやすい文房具を使うという選択肢を生み出した。
 実用性に「カワイイ」価値が付加されるようになったのは、蛍光ペンの登場からだという。多種多様なデザインののり付きメモの登場、マスキングテープのブームを経て、今は「デコレーション」に特化したシールやスタンプ、カラフルな筆ペンなどが人気だ。
 著者の一人、トヨオカ氏は新庄市出身。大手文具メーカーで商品開発やマーケティングに携わった。02年からフリーでものづくりの現場などを取材、情報誌や女性誌を中心に執筆する。
 エクスナレッジ03(3403)0582=1728円。

河北新報
2018年11月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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