キャリアアップのために知っておきたい「目標実現」のルール

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できる人の仕事のしかた[新版]

『できる人の仕事のしかた[新版]』

著者
リチャード・テンプラー [著]/桜田直美 [訳]
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
ISBN
9784799323403
発売日
2018/11/15
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

キャリアアップのために知っておきたい「目標実現」のルール

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

新版 できる人の仕事のしかた』(リチャード・テンプラー著、桜田直美訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、世界的ベストセラー“Rules”シリーズ内でもっとも長く読み継がれている書籍。

今回登場した新版は、2015年に英国で刊行された『The Rules of Work』4th Editionにおいて新たに追加された11章を翻訳・編集し、デザインを一新した最新エディションです。

ここで明らかにされているのは、著者が何年もかけて熟成させていったという「仕事のルール」。それは難しいものではなく、仕事の合間にでも本書を読めば身につけることが可能。結果的には、現在よりもうまく立ち回り、さらに成功することになるだろうと著者は記しています。

とはいえ現時点では、なにがどう変わるのかをイメージしづらくもあります。そこで、著者がよく聞かれるという質問と、その答えを抜粋しておきましょう。

質問:ルールを実行して、本当に何かいいことはあるのでしょうか?

答え:ある。次のようなことが実現するだろう。

・ 昇進する。

・ 同僚とうまくやれるようになる。

・ 自分に自信がつく。

・ 仕事がもっと楽しくなる。

・ 仕事への理解が深まる。

・ 上司の考えが理解できるようになる。

・ 自分自身と自分の仕事に誇りが持てる。

・ 後輩や部下にいい手本を見せることができる。

・ 会社に貢献できる。会社からも大切にされ、尊重される。

・ 会社を辞めて独立しても成功できる。

(「はじめに」より)

きょうは第3章「目標を実現するために11のルール」のなかから、いくつかを抜粋してみたいと思います。

長期の目標を立てる

実はほとんどの人が、人生のプランを考えていないと著者は指摘しています。だから、ほとんどの人が成功できないのだと。でも、もしもキャリアにおいて成功したいと考えているのであれば、自分が働く業界についてよく調べ、業界特有のゲームプランを知っておくべき。

そして、「その業界で目標の地位に到達するためには、どんなステップが必要なのか」を考えることが重要だといいます。

ステップはたいていの場合、平社員、中間管理職、上級管理職、経営陣の4つのみ。そこで、まずはそれぞれのステップにおいて、自分が達成したいことはなにかを考えておきたいところ。

たとえば、経験を積みたいのか、責任ある仕事をしたいのか、新しいスキルを身につけたいのか、人を管理する仕事に対する理解を深めたいのか、など。

次に考えたいのは、それぞれのステップをクリアするために必要なことはなにかということ。それは、別の部署に異動することかもしれないし、他の支店に異動することかもしれません。いずれにしても、各ステップをクリアする方法がわかってしまえば、それを実行するのは意外と難しくないもの。

そして大切なのは、最終目標を必ず決めておくこと。想像力に限界を設けたら、自分にふさわしいものよりも下のレベルで満足することになってしまうため、どんなに高い目標でもかまわないそうです。

たとえば、CEOでも世界一のお金持ちでもOK。夢に限界を設けてはいけないということです。(73ページより)

短期の目標を立てる

著者の場合、常に3つの短期プランを持っているそうです。今月のプランと、今年のプランと、5年プラン。

・ 一カ月プランは、現在行っているプロジェクトについて書く。これは、締め切りと優先順位の入った実際に片付けなければならない仕事のリストだ。

・ 一年プランには、計画段階にあるプロジェクトについて書く。

・ 五年プランには、アイデア、夢、目標、希望、願望などを書く。

(74ページより)

注目したいのは、著者がこれら3つのプランを、それぞれ個別に管理しているということです。

一カ月プランは、デスク上のクリップボードで管理。一枚の紙に、締め切り、電話しなければならない相手、することリストなどを書き、クリップボードにはさんでおくわけです。日付のない手帳やカレンダーのような感じで。

次に、壁に貼ってあるのが一年プラン。といっても掲示板や年間計画表ではなく、一枚の紙を12に区切り、1月から12月までを割り当てるというのです。「しなければならないこと」ではなく、その月々に「したいこと」を書くのがポイント。

一カ月プランと一年プランでつくる仕事が生活の糧になり、それはパンとバターのようなもの。「しなければならないこと」がパンであり、「したいこと」がバターだという考え方。

そして5年プランの目的は、人生の大体の方向性を決めること。いまから5年の間、自分はどんな仕事をしていたいだろうかと考えるわけです。

なお重要なのは、すべてのプランに、具体的なステップと、必要な行動を書いておくこと。なぜなら具体的な行動計画のないプランは、プランではなく、ただの漠然としたアイデアにすぎないからです。(74ページより)

昇進の仕組みを学ぶ

経験と年齢を重ねていくに従って、かつては見上げていたマネジャーや経営トップの地位に就くことになるかもしれません。あるいは、いつか会社を辞めて独立することになるかも…。

しかし、ほとんどの人は、その程度のことしか考えていないものだと著者は指摘しています。

自分のなかにプランがあって、競争を勝ち抜くつもりなら、その仕組みを知ることが重要。運任せでも望んだ場所にたどり着けないわけではないでしょうが、それはリッチな引退生活を送るために宝くじを買うのと似たようなもの。

可能性はゼロではないものの、確率はかなり低いわけです。そこで、著者はひとつの提案をしています。

自分が働く業界に目を向けてみよう。そこでの昇進の仕組みはどうなっているだろう。面倒かもしれないが、すでにトップに到達した人の経歴を調べてみれば、昇進のシステムが見えてくるはずだ。

それをもとに、業界の「昇進チャート」を作ってみよう。

1 業界で最高のポジションを記入する。

2 次に、一番下のポジションを記入する。

3 一番下と一番上を結ぶステップをすべて洗い出す。

4 自分が今いるポジションを確認する。

5 今の自分から、最高のポジションまでに必要なステップをすべてリストにする。

(77ページより)

ステップをクリアするごとに線で消していき、チャートには、各ステップに必要なスキルや経験もリストにしておくといいそうです。

また、行くべき場所、学ぶべきことを明らかにしたら、それを長期目標や5年プランに加えることも大切。(76ページより)

すべての仕事に目標を設定する

簡潔な一文にまとめた目標があれば、どんな日もその言葉を励みにして一日を乗り切ることができるはず。逆に目標がなければ、その仕事で成功し、認められる見込みはほぼないもの。

そこで、仕事のあらゆる分野で目標を決めるようにしようと著者は提案しています。

・ 何が問題なのか。

・ その問題の解決策。

・ 問題解決のために必要な行動。

・ 問題の再発を防ぐ方法。

(81ページより)

目標を決めておけば、これらのポイントがはっきりするというのです。(80ページより)

自分の役割を心得る

役割とは、チームのなかで果たす機能のこと。つまり会社にいるのは、組織のなかで自分に与えられた機能を果たすためだという考え方。いまの時代、誰もがチームプレーヤーになることを求められているということです。

20年以上にわたってチームワークの本質を研究しているメレディス・ベルビン博士によると、チームには大きく分けて9つの役割が必要なのだそうです。

1 プラント:まったく新しい考え方ができる人。新しいアイデアを生み出し、問題の解決策を提示する。

2 リソース捜査官:新しいアイデアを取り入れるのが好き。外交的な人気者。

3 コーディネーター:自制心が強く、感情を抑制できる。目標に集中し、チームをまとめる。

4 シェイバー:結果にこだわる。成果を出すために、難しい挑戦に意欲的に取り組む。

5 モニター評価者:物事を客観的に考える。分析し、バランスをとり、検討する。冷静で、超然としている。

6 チームワーカー:いつもチームのことを第一に考える。協調性があり、協力的。外部との交渉役に適任。

7 実行者:仕事の段取りがいい。常識的に考え、着々と仕事を完成させる。

8 コンプリーター:細部をチェックし、後片付けをきちんとする。面倒な仕事、細かい仕事なども嫌がらない。仕事の仕上げに適任。

9 スペシャリスト:専門的なスキルを身につけるために努力する。プロ意識が高い。やる気に満ち献身的。

(82ページより)

自分自身がその役割に当てはまるかを考えてみれば、よりよいチームプレーヤーとして動けるようになるわけです。(82ページより)

このように、紹介されているルールはとてもシンプル。しかし、ひとつひとつ段階を踏んで実行していけば、自信をつけ、もっと力のある新しい自分を想像することができるといいます。

そんな著者の言葉を信じて、少しずつ試してみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2018年11月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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