「睡眠」の質もアップする! 疲れをとる「入浴法」5つのルール

レビュー

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最高の入浴法

『最高の入浴法』

著者
早坂信哉 [著]
出版社
大和書房
ISBN
9784479784494
発売日
2018/11/23
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「睡眠」の質もアップする! 疲れをとる「入浴法」5つのルール

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

最高の入浴法』(早坂信哉著、大和書房)の著者は、これまで20年にわたって「お風呂・温泉」を医学的に研究し、のべ3万8000人の入浴を調査してきたという温泉療法専門医。

そのような経験から、「入浴こそ、一般の方が実践できる、もっとも優れた健康法」だと確信したのだそうです。

入浴は日本人にとって身近すぎるだけに、気づきにくいかもしれません。しかし入浴の健康作用は医学的にも明らかにされており、具体的にいえば免疫機能のアップ、自律神経の調整、血流改善、基礎代謝・体内酵素の活性化、精神的ストレスの軽減など効果はさまざま。

著者の研究チームによる調査においては、「毎日、湯船に浸かること」の健康効果として次のような結果が明らかになっているといいます。

◎ 睡眠の質が向上する

◎ 主観的健康感(自覚する健康状態)がよくなる

◎ 「幸福度」が高くなる

◎ 3年後、要介護状態になるリスクが29%減少する

(「はじめに」より)

ただし、これらの効果を実現するためには「医学的に正しい入浴法」をすることが必要。なぜなら体に与える影響は、「たった1℃」の違いで大きく変わってくるから。

逆にいえば、健康のためお風呂に入っても、方法を間違えると体に負担をかけることにもなりかねないということです。

そこで本書において著者は、これまで報告されてきた医学研究結果や、20年かけてきた入浴研究のエッセンスをわかりやすく解説しているわけです。

きょうは第2章「『寝てもとれない疲れ』を解消する入浴法」のなかから、いくつかの要点を引き出してみたいと思います。

重い疲れがとれる入浴法「5つのルール」

疲労回復にとって大切なのは、「血液循環」と「自律神経」、そしてそのあとに続く「睡眠」。疲労回復に関していうと、もっとも重要なのは「湯船に浸かること」なのだそうです。

最近ではシャワーだけで済ませてしまう人も少なくありませんが、それでは体温も十分に上がらず、静水圧や浮力の効果を得ることもできません。

お風呂がもたらす温熱効果や静水圧の効果がしっかりと発揮されないため、血液が循環せず、疲労回復効果も低くなってしまうというのです。

ヘトヘトになって帰宅したあと、浴槽を洗ってお湯を沸かすのはたしかに面倒。しかしシャワーだけだと疲れがとれないので、結局は翌日までだるさを引きずってしまい、またヘトヘトになって帰宅するという悪循環に陥ってしまうことに。

つまり、十分な体温上昇(0.5~1℃)、血流アップによる老廃物の代謝、副交感神経への刺激などは、湯船に使ってこそ得られる健康効果だということ。

そこで著者はここで、湯船に浸かる際のポイントを紹介しています。

①温度は40℃

温度は40℃が最適「少しぬるい」と感じる温度という気もしますが、そこには幅広い年齢層・体力層にとって低リスクだという利点が。

安全面において、のぼせヒートショックなどの体調不良を起こしにくいというメリットがあるだけでなく、10~15分程度の入浴時間でも十分に体が温まるため血液の流れもよくなることになるといいます。

そのため、疲労回復やリフレッシュ、体の痛みの改善につながるわけです。

②「全身浴」で肩まで浸かる

かつて半身浴がブームになったことがありましたが、著者によれば「半身浴ならでは」という特筆すべき健康効果はないのだそうです。

半身浴では「温熱作用」の効果が半減してしまうので、しっかりと全身でお湯に浸かったほうが体は温まり、血流もよくなるということ。つまり半身浴より全身浴のほうが健康効果は高いので、しっかり肩まで浸かることが大切だというのです。

そうすれば静水圧と浮力の採用により、体の隅々にまで血液を送ることができるため、温熱効果もアップすることになるということ。

ただし、注意点が2つ。まずは、いきなり浴槽に浸からないこと。まず、かけ湯をして、体をお湯に慣らすことが大切だというわけです。

また、心臓や呼吸器に疾患のある人は、あらかじめ主治医に相談しておくことも重要。肩までお湯に浸かると息苦しく感じる人は、無理せず半身浴にしておいたほうがいいということです。

③浸かる時間は、10分から15分

入浴の際、「長く入らなければ!」という気負いは必要なく、10~15分で大丈夫。その代わり大切なのは、毎日湯船に浸かること。その程度の時間であれば心身に大きな負担はかからず、しっかりと体が温まるわけです。目安は、顔や額が汗ばんでくる程度。

なお、ちょっと息苦しいという場合は自律神経のスイッチが交感神経に入っていることもあるので、浴槽から出て休むことが大切。心臓、血管、呼吸器に疾患がある方は注意が必要だそうです。

また、汗を流しながら我慢してお湯に浸かり続けると、入浴熱中症(のぼせ)になることも。健康を求める入浴で体調を崩したのでは本末転倒ですから、「お風呂の我慢大会」は控えるべきだといいます。

④入浴剤でリラックス効果アップ

血流アップ&疲労物質除去効果がある「硫酸ナトリウム」を含む入浴剤を使用するのもいいとか。また、泡が出る「炭酸系」入浴剤は血管を拡張させて血流を改善させるそうです。

ちなみに、自分のお気に入りの香りを胸いっぱいに吸い込むことでも、リラックス効果を高めることが可能。

⑤入浴後は、温熱効果を逃さない

お風呂から出たあと、裸でのんびりするのは厳禁。早めにタオルで水分を拭きとり、毛布や布団にくるまることが大切だということです。

なお、お風呂で汗をかいたあと、扇風機や冷房で涼むのも基本的にはNG(のぼせてしまった場合は別)。せっかく温まった体が冷めてしまい、血流のよい状態がすぐに終わってしまうからです。 (68ページより)

睡眠の質がアップする「深く眠れる入浴法」

いうまでもなく、疲れをとるためにもっとも重要なのは睡眠。睡眠は副交感神経を優位にして体を休ませ、日中に消耗した器官の修復や、新たなエネルギーを貯蔵するための大切な時間であるわけです。

注目すべきは、睡眠の質を格段にアップさせる効果がお風呂にはあるという事実。そこで著者は、ぐっすり眠って気持ちのよい朝を迎えるための入浴法について解説しています。

①「副交感神経優位」に切り替えておく

睡眠の質を高める入浴法についてまず重要なのは、自律神経のスイッチを副交感神経に切り替えること。体が興奮状態のままでは、リラックスして体を休めることは困難。

「ベッドに入ったあとも目が冴えて入眠までに時間がかかる」という場合は、うまく副交感神経優位の状態に切り替えられなかった可能性があるというのです。

②風呂は、就寝の「1~2時間前に」

良質な睡眠を取るためには、上手に体温を下げていくことが大切。体を温めることももちろん大切なのですが、人間は体温が高いままでは安眠できず、眠りの質が低い睡眠状態が続いてしまうというのです。

お風呂に入るといったん体温が上がり、約1時間半程度で急速に下がってきます。つまり、このタイミングでベッドに入れば良質な睡眠がとれるということ。

小さな子どもは、眠くなると手足が温かくなりますが、「手足の体温が高い状態」というのは、体が熱を体外に放出して体温を下げている状態。副交感神経が優位になり、血液を体の隅々まで行き渡らせることで、体の末端から熱を逃し、結果として睡眠に入るということ。

ところが交感神経が優位のままだったり、手足が冷たい冷え性だったりすると、熱がうまく放散できず、逆に体の温度が高いままになり、眠りの質を下げてしまうわけです。

「お風呂で心身を温め、血流をアップさせる&副交感神経を優位にする→手足から熱を放出する→体温が下がる」というのが理想的な流れ。つまり「体温を急速に下げて安眠するために、お風呂で体を温めること」が重要だということ。

睡眠の質を高めるためには、最終段階の「体温が下がる」タイミングと、入眠のタイミングを合わせることが大切。そのためには、「お風呂から出たあとの1~2時間以内」にベッドに入るべき。

③夕食から就寝までは「2時間あける」

眠るときに食べ物が消化管に残っている状態では、質の高い睡眠にはならず、また血糖値が高い状態でも体をリラックスさせることは困難。糖質を含む食事をすると脳にエネルギーが送られるため、体が興奮状態になってしまうというのです。

そこで著者は、夕食後に1時間程度の休憩を設けてお風呂に入ることを勧めています。その1時間の間に、体内で消化を落ち着かせるということ。そうすれば、入浴の代謝機能によって、血糖値下降や消化・吸収が進み、穏やかな就寝につなげていくことができるわけです。

こうして考えていくと、ぐっすり眠るためには、夕食後から寝る前までのスケジュールが自然とできてくるもの。夕食後に休憩を1時間、お風呂に30分(そのうち、湯船に浸かるのが10~15分)、歯磨きや着替えなど就寝準備に30分~1時間という流れが理想的だといいます。

とはいえ「必ずこのタイムスケジュールを守らなければ」と思いすぎるとストレスになってしまうので、あくまで目安として参考程度に考えておけばいいようです。(75ページより)

入浴がもたらす効果にはじまり、不調別の入浴法、温泉の「医学的に正しい入り方」、果てはスキンケアまで、入浴にまつわるさまざまなトピックスを満載した内容。

関心や症状に応じてどこからでも読めるので、入浴法のクオリティを確実に高めることができそうです。

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2018年12月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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