<東北の本棚>脳科学を駆使して検証

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最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる

『最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる』

著者
川島隆太 [監修]/松﨑泰 [著]/榊浩平 [著]
出版社
青春出版社
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784413045513
発売日
2018/09/04
価格
968円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>脳科学を駆使して検証

[レビュアー] 河北新報

 「本を読む子は頭がいい」。子を持つ親はもとより、学校・教育関係者の間で長く語られてきた子どもと読書に関する大命題を、最新の脳科学を駆使して検証した一冊。
 「脳トレ」で知られる川島隆太東北大加齢医学研究所所長の監修の下、「読書と学力」「脳と睡眠」「読書中の脳の働き」「読み聞かせの効果」などについて豊富な事例を基に、教育学や脳科学を研究する2人の著者が考察を加えている。
 第1~3章では、仙台市教育委員会の協力を得て、2017年度の小学5年~中学3年の計4万人を調査。「学力と読書の関係」を解析したところ、「偏差値50以上の成績上位層に入るには、少なくとも1日10分以上の読書が必要」という結論を導き出した。「どんなに勉強しても、読書をしないと平均点までしか届かない」との結果も提示。読書の効用を立証している。
 学習したことを定着させる上で重要な睡眠との関係では、睡眠時間が短い子ほど、脳で記憶をつかさどる「海馬」の体積が小さいことが判明。小学生で8時間以上、中学生で7~9時間の睡眠を取ることを勧めている。
 読む本のジャンルによって脳がどう動くかを、磁気共鳴画像装置(MRI)を用いて実験。ファンタジー小説では驚いたり、感動したりする時に活動する扁桃(へんとう)体などが活発化。推理小説の場合、熟考する際に活動する言語プロセスに関わる「左の島皮質」の活発化が確認された。
 第4~6章では、読書と関連が深い読み聞かせの重要性も詳説。近しい大人による心のこもった読み聞かせが、子どもの聞く力(側頭葉)や感情に関する脳活動を活発化させる、と強調している。母親の育児ストレス軽減や大人の認知能力向上など多方面での効果も指摘する。
 読書と読み聞かせが、子どもの脳の成長だけでなく、大人にも良い影響をもたらすことを、本書はさまざまな形で例示する。
 青春出版社03(3203)5121=950円。

河北新報
2018年12月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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