すべてを整理する必要なし。「面倒くさがりや」のための整理術とは?

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面倒くさがりやの超整理術 「先送り」しないための40のコツ

『面倒くさがりやの超整理術 「先送り」しないための40のコツ』

著者
美崎栄一郎 [著]
出版社
総合法令出版
ISBN
9784862806512
発売日
2018/11/09
価格
1,430円(税込)

すべてを整理する必要なし。「面倒くさがりや」のための整理術とは?

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

新しい年を境に、乱雑なデスクまわりなどを整理整頓したいと考えている方も多いのではないでしょうか? 

そこでオススメしたいのが、『面倒くさがりやの超整理術 「先送り」しないための40のコツ』(美崎栄一郎著、総合法令出版)です。

片づけや整理に悩む人は一杯います。ニーズがあるのも分かっています。そのため、この本はそういう片づけや整理に悩む人向けの本にすることにしました。 片づけが面倒くさいと思っている人向けです。

ですから、この本の内容を全部やらなくてもいいです。できるだけ、私でも実践できる面倒くさくない方法を書きましたが、気になったところだけ、整理したらいいんじゃないでしょうか。(「まえがき」より)

そう言われると、なんとなく気持ちは楽になります。ところが著者は、整理整頓に悩む人が、本書だけですべてを解決することはできないとも言うのです。

「この本でうまく解決できたとしても、いつかリバウンドする」のだと。

それでは意味がないと感じるでしょうか? しかし、以下の考え方を知ると、なるほどと納得できるはずです。

世の中の状況は変わるし、仕事のツールもルールも変わります。また、読者のみなさん自身の状況も変わりますから、常に新しいやり方を模索しなければ、同じやり方でリバウンドしないわけがありません。

色々なモノや入ってくる量が増えてしまったのが現代社会ですから、リバウンドする危険性は大いにあるのです。もちろん、解決する方法も出てくるかもしれませんが。(「まえがき」より)

つまり大切なのは、これ1冊だけですべてが解決するわけではなく、そもそも、そんな都合のいい本はないということ。

しかし、もしも本書のなかから「ここはなんとか取り入れたいなあ」と感じた項目を見つけることができたのだとしたら、まずはそれを実践してみればいいということです。

全部が整理されなくても、整理したいところだけをうまく整理できれば、仕事もプライベートもうまくいくんじゃないかと思います。完璧じゃなくてもいいじゃないですか。(「まえがき」より)

そんな考え方に基づく本書の第3章「デスクまわりの整理編」のなかから、いくつかをピックアップしてみたいと思います。

デスクの整理[1分]

デスクの整理は、ビジネスパーソンにとっての永遠の課題だと言えるのではないでしょうか。では、どうしたらいいのでしょうか? 

著者はまず、デスク上のリセットから始めることを勧めています。しかもそれは、わずか1分で可能なのだというのです。

①紙袋を用意する

②デスクの上のもの全部を紙袋にたたき込む

(50ページより)

たしかにこれだけなら、1分で片づけることができそうです。ただし、これですべてが終わるということではありません。

そののち1週間くらいかけて、必要なものがあれば紙袋から取り出し、3秒で取れる便利な場所に配置していくことが大切だというのです。

つまり、行動導線に必要なものを配置していくのです。たとえば1週間経っても使わないものがあったとしたら、それは、当座は必要ないものだということになるでしょう。そのため、デスクの下や引き出しのなかなどに入れておくほうが実際の作業効率は上がるという考え方。

デスク上のモノをどけ、スペースを広げて作業するという余計な手間も、あるいは多くのモノのなかから必要なモノを見つける手間も、こうすることによって減るというわけです。(50ページより)

文房具の整理

文房具の整理も重要なポイントですが、この点について著者は、「必ずしも文房具の整理は必要なのだろうか?」と疑問を呈しています。

世の中には「文房具好き」がいるものですが、そういう人にとっては、文房具を捨てることそれ自体がストレスになりうるということ。

よくある断捨離系の本では、捨てろとおっしゃいます。整理が必要なのかと言われるとYESと答えますが、捨てることまで必要かと言えば、私の場合はNOです。

そもそも、好きで集めたものですから、置いておきたいわけですよね。でも使わない。使うかもしれない状態で置いておくことに楽しみがあるのであれば整理して保有しておけばいいんです。(58~59ページより)

具体的な文房具の整理法に関しては、目的を明確にし、それに応じてフォーメーションを設計することが大切だといいます。なぜならそれが、文房具の整理のポイントだから。

まずするべきは、利用シーンごとに1軍と2軍に分けること。著者の場合、手帳を利用する際に使うのは、フリクションボールの3色ペンとフリクションボールの蛍光ペンのソフトカラー3色だそうです。

次に、手帳を使うシーンについて考えてみましょう。まずひとつは、パソコンのあるワークスペースということになります。アポイントはメールやチャットなどでやりとりするため、手帳のスケジュールはパソコン作業で決まるわけです。

そのため著者も、手帳を使うシーンにおける1軍のペンは、ワークスペースの右側のペン立てに立てているのだといいます。

そして、手帳を使うもうひとつのシーンといえば外出先。この場合はリアルな会議やスマホのメールなどをもとに手帳の予定を記入&修正することがあるため、ペンケースに手帳用の1軍文具が必要になるわけです。

つまり、同じ文具が2セットあるということ。もったいないような気もしますが、結果的になくなるまで使うとすれば、最終的には同じでもあります。

なお2軍の文房具は、すべて同じ箱に入れておけばOK。できれば、同じ仲間の文具は一緒に小さな箱に入れておくといいそうです。

ペンはペン、メモはメモ、付箋は付箋だけというように入れておけば、これはと思ったときに復活させることができるということ。しかも箱に分けられていれば、必要なときすぐに取り出すことができます。

整理が必要だなと思ったのは、作業をするときに必要なものがすぐに見当たらなかったことがあったり、探すのに時間がかかっていることからだと思います。

ですから、利用シーン毎に分けて1軍だけを出し、2軍以下は控えにあれば捨てる必要なんてないわけです。で、疲れたなぁと思ったときに、気分転換としておもちゃ箱を開け、入れ替えや捨てる判断をすればいいわけです。(63ページより)

たしかにそれなら文房具を捨てる必要はなくなりますし、文具好きには理想的かもしれません。(58ページより)

ケーブルの整理[15分]

デジタル機材を使っていると、どうしてもケーブルがたまってしまうもの。しかも同じようなケーブルが重複したりして、肝心なときに見つからないということになってしまいがち。

そんなケーブルの保管には、紙袋と輪ゴム、チャックつきのビニール袋を使うといいそうです。

①ケーブル全部を紙袋に突っ込む

②輪ゴムとチャック付きのビニール袋(サイズの違うもの)を買う

③暇なときにケーブルを巻き取り、輪ゴムで止める

④同じ種類、同じセットをチャック付きビニール袋に入れる

(65ページより)

まず①だけをやれば、いったんケーブル問題は解決することになります。その紙袋を探せば、ケーブルをすぐに見つけることができるからです。

そして暇なときなどに、ケーブルを巻き取って輪ゴムでとめ、それをチャック付きのビニール袋へ。ビニール袋に入れておけば、コード同士がこんがらがることはないわけです。

また電源ケーブルとデータ用のケーブルがセットになっている場合は、一緒に入れておくこと。ビニール袋をサイズ違いで買っておけば、どんなものにも対応でき、しかも透明なので外から簡単に確認できて便利。100円ショップで売られているもので十分だそうです。

輪ゴムは天然の輪ゴムではなく、シリコンポリウレタン素材のものを選ぶことが大切。天然ゴムより割高ですが、劣化によってコードにへばりついたりしないため、保管に適しているというのがその理由です。

あるいは輪ゴムの代わりに、ビニールタイ(もともとケーブルをまとめてある針金状のもの)でも大丈夫。ただしビニールタイは外すのに少し時間がかかるので、著者はパッと外せる輪ゴムにしているのだそうです。

そしてケーブルに関して無視できないのは、「アクティブなケーブルの整理問題」。いま使っているケーブルをどう整理するかということですが、その整理アイテムとして便利なのがマグネットバンドなのだといいます。

これをデスクの金属部分に取りつけておくと、使っていないケーブルのホームポジションが定まるわけです。(65ページより)

このように、すぐ応用できるちょっとしたアイデア満載。もちろんデスクまわりのことだけではなく、「記録媒体の整理」「日常業務の整理」「デジタル整理」「思考の整理」と、さまざまなものを整理する方法も紹介されています。

どれもシンプルでわかりやすく、上記のように所要時間も記載されているものも多いので、すぐに試してみることが可能。

リフレッシュした環境で仕事に臨めるよう、参考にしてみてはいかがでしょうか?

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2019年1月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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