英語を上達したいなら、「日本人にありがちな英語」をシンプルな「3語」に組み立て直そう

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

英語は3語で伝わります【どんどん話せる練習英文100】

『英語は3語で伝わります【どんどん話せる練習英文100】』

著者
中山 裕木子 [著]
出版社
ダイヤモンド社
ジャンル
語学/英米語
ISBN
9784478103760
発売日
2018/12/07
価格
1,760円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

英語を上達したいなら、「日本人にありがちな英語」をシンプルな「3語」に組み立て直そう

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

英語は3語で伝わります【どんどん話せる練習英文100】』(中山裕木子著、ダイヤモンド社)の著者による前著『英語は3語で伝わります』は、30万部を突破したベストセラーとなりました。

著者は同書が幅広い層から受け入れられた理由について、「複雑な文をやめて、3語(主語)、動詞、目的語」でシンプルに使える英語」に興味を持ってもらえたからだろうと分析しています。

そして2年の時を経て実感するのは、もはや英語は「悩みの種」ではないということだといいます。「話したい!」「書きたい!」という意思を持つ、積極的な人々が増えたというのです。つまり本書は、そのような実感を原点として誕生したもの。

本書では、「日本人にありがちな英語」を「3語の英語」に組み立て直す練習をします。その手段として、100の英文を用意しました。

100の英文はすべて、「日本人にありがちな英語」と「3語の英語」を対比させる形になっており、「どこをどう考えれば、3語の英語になるのか」を詳しく解説しています。(「はじめに 今こそ、日本の英語が変わるとき」より)

ただし「日本人にありがちな英語」は、必ずしも間違っているわけではないのだそうです。しかし、「3語の英語」の発想を持つことによって、もっと英語がラクになり、話すことが楽しくなるというのです。

組み立て練習を通して、英語独特の考え方を学ぶ中で、主に動詞を強化する英文法が身につきます。動詞にまつわる時制や、動詞を強化して表現の幅を広げる助動詞・副詞、さらにはモノの名前を表す名刺の使い方まで、英語で伝えるための基本を習得します。

なお助動詞とは、動詞が言い切る動作に話し手の「気持ち」を加えるものです。そして副詞は、動詞や文全体に「程度の強さ・弱さ」を加えます。これらをマスターすれば、「3語の英語」で表せる表現の幅が広がります。(「はじめに 今こそ、日本の英語が変わるとき」より)

そんな本書のなかから、Chapter 1「自分・家族・友人のことを話してみよう」を見てみましょう。

私の趣味はガーデニングです。

× My hobby is gardening.

「私の趣味(My hobby)」で文を開始すると、「~です」を表すbe動詞を使ったMy hobby is gardening.という英文が完成します。しかしbe動詞を使った文は、「静か」な状態を示すのだそうです。

イメージとしては、What is your hobby?(ご趣味は?)My hobby is gardening.(ガーデニングでございます)といった会話だということ。正しいとはいえ、会話がいきいきしていないわけです。

また、英語のhobbyは「スキルを要するこだわりのアクティビティ」を示すため、会話のハードルも上がるのだとか。

そこで「趣味」とかまえずに、「好きなこと」「普段よくしていること」「楽しいと思うこと」を伝えるべきだと著者は言います。「私」を主語に選び、「自分」を前に出すわけです。そして次に、私の動作を表す同士は「好き」とし、「目的度(動作の対象)」を置くだけ。

①私 ②好き ③ガーデニング

・動詞「好き」にはlikeを使用

○ I like gardening.

動詞likeは、I like.(私は好き)だけでは文を終えることができません。「なにが好きか」を必ず言う必要があるわけです。つまり、「動作の対象」が必要だということ。

このような動詞(他動詞)は、「3語の英語」を組み立てるのによく使う動詞だそうです。

一方の自動詞は、自分だけで文を終えることができる動詞。I go.(行きます)などがわかりやすい例ですが、上記のbe動詞も自動詞に分類されるもの。いずれにしても「3語の英語」のカギは他動詞なので、静かなbe動詞や他の自動詞ではなく、動作を大胆に表す他動詞を使うべき。(38ページより)

家族は妻と息子が2人です。猫も1匹います。

× My family is my wife, and two sons. Also, there is one cat.

「家族は~です」をMy family is…とはじめてしまうと、他動詞が使えません。そればかりか、my wife, and two sons(妻と息子が2人)は複数なのに、同士は単数のisという不一致も起こってしまうことに。

加えて、次の文のthere is one cat.(猫が1匹います)は、前置きのthere is oneが長く、「猫がどこにいるのか」を言っていないので、まどろっこしい印象を与えます。

つまり大切なのは、主語と動詞をはっきり決めること。「自分」にまつわる話をするため、主語は「私」を選択。主語「私」と、「妻」「2人の息子」「猫」との関係を表す簡単な同士を探すことがポイントになるわけです。

①私 ②持っている ③妻と2人の息子、そして猫

・便利で万能な動詞have(~を持っている)を使用。動詞haveの目的語(動作の対象)は、モノばかりではなく「人」もOK。

○ I have a wife and two sons, and a cat.

日本語で家族を紹介するときには、「私には~がいる」のように「客観的にそのような状態になっている」という言い方をするもの。一方、英語の発想では「私が~を持っている」というように、「動作主(主語)」と「動作の対象(目的語)」との所有関係を表します。

そのような英語の特徴を生かせる万能な動詞がhave。言うまでもなくhaveは「~を持っている」を意味します。目的語(動作の対象)に「人」を置き、I have…で「~がいる」と表現できるということ。(40ページより)

息子は高校でサッカー部に入っています。

× My son belongs to a soccer team at high school.

「サッカー部に入っている」と言いたいときにはbelong to…(に属しています)が思い浮かぶかもしれません。しかし硬い表現であり、発音も難しく、会話がスムーズに進まなくなる可能性があるというのです。

この文で本当に言いたいことは、「サッカー部に入っている」ことではなく、「サッカー部で活動している」こと。いいかえれば、息子はサッカーをやってるんですよ」になるわけです。

大切なのは、難しい表現を捨て去り、簡単で具体的な動詞を探すこと。「息子が高校でなにをしているか」に着目し、「所属」しているかどうかではなく、「なにをしているか」を表すということです。ちなみに「高校で」は、そのまま後ろに残します。

①息子 ②する ③サッカー(高校で)

・「サッカーをする」はplay soccerを使い、簡単に表現。Play(~をする)は表す動作が具体的で、しかも簡単です。

○ My son plays soccer at high school.

英語は動詞の形を変えることで「時制」を表します。「現在形」は、「いつもしていること」「不変のこと」を表します。つまり、「日常的にサッカーをしている」→「サッカー部に入っている」となるわけです。

同様に、My sister plays the piano.は、「姉がいまピアノを弾いている」ではなく、「日常的にピアノを弾いている」→「姉はピアノが弾ける」という能力を意味する表現になるのです。

My mother does all the housework.やMy brother walks our dog.も同じく、「母が家事をする」「兄は犬の散歩担当」という習慣を表すということです。現在形は時の一点ではなく、むしろ時間の概念がない場合に使う時制だということです。(44ページより)

父は朝の散歩を日課にしています。

× My father makes a daily habit of taking a walk in the morning.

「日課」というような難しい漢字表現を英語にするのは大変なこと。たとえば「~を日課にしている」を和英辞書で引けばmake a daily habit ofという熟語が出てくるかもしれませんが、それは適切ではないようです。

「散歩をする」を表すtake a walkと「朝に」のin the morningも、それぞれが難しいと感じる場合には、「朝の散歩」とまとめてしまうのも手。

「朝の散歩を日課にしています」を「毎朝散歩をしています」→「朝の散歩を楽しんでいます」と変換すればいいということです。

①私の父 ②楽しむ ③朝の散歩

・動詞にはenjoy(〜を楽しむ)を使用。Enjoyには、「喜び(joy)」を「行う(enは内に入れるの意)」という意味が。

そしてenjoyの後ろに「行う動作」を表す名刺を置きます。ここでは散歩(walks)という名刺をそのまま使うということ。他に、動作を表すwalking(walkの名詞形)も可能。

○ My father enjoys morning walks.

動詞enjoyの後ろには、「体験」を表す名詞をそのまま置くことが可能。たとえば、enjoy morning walks(朝の散歩を楽しむ)、enjoy summer vacation(夏の休暇を楽しむ)、enjoy hiking(ハイキングを楽しむ)など。

likeやloveではなくenjoyを使うと、「行為を行い、そして楽しむ」というニュアンスが強くなるそうです。My father likes morning walks.では、「朝の散歩が好き」であることを伝えてはいるものの、毎日行なっているというニュアンスが伴わないわけです。(50ページより)

このように、シンプルな「3語の英語」の具体的な用法が解説されているのが本書の特徴。著者の言うとおり、こうしたベーシックを再確認するだけで、英語はぐっと身近なものになるはずです。

Photo: 印南敦史

メディアジーン lifehacker
2019年1月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク