<東北の本棚>精神科医実践例を解説

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被災地の子どものこころケア

『被災地の子どものこころケア』

著者
松浦 直己 [著、編集]/八木 淳子 [著]/福地 成 [著]/桝屋 二郎 [著]
出版社
中央法規出版
ジャンル
社会科学/社会
ISBN
9784805857793
発売日
2018/11/19
価格
2,376円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>精神科医実践例を解説

[レビュアー] 河北新報

 東日本大震災は、子どもたちの心に深く大きな傷をもたらした。岩手、宮城、福島の3県で心の回復を支え続ける児童精神科医3人が、それぞれの立場で支援した症例を紹介、実践したケアについて解説する。具体的な対処方法は、被災地内外で子どもと向き合う全ての人に、役立つだろう。
 八木淳子氏は、岩手医科大いわてこどもケアセンター副センター長。ある8歳の女児は、震災から5年経過したころから津波で亡くなった祖母を思い出して泣いたり、夜眠れなくなったりした。八木氏は「心的外傷性悲嘆」と診断。トラウマ(心的外傷)記憶に触れることができるように働き掛け、子どもがトラウマについてセラピストに語り認知の修正を行うトラウマフォーカスト認知行動療法を施した。
 八木氏は「母子ともにトラウマ記憶の整理と悲嘆処理が進んだ」と指摘。女児は本来の明るさを取り戻したという。
 宮城県精神保健福祉協会みやぎ心のケアセンター副センター長の福地成氏は、赤ちゃん返りした5歳男児のケースを挙げる。
 抱っこをせがみ、指をしゃぶる。2、3歳のような言葉遣いをする男児の症状を「急性ストレス反応」とし「否定せずスキンシップや安心できる言葉を掛け、言葉に耳を傾けることが大切」と説いた。
 東京医科大茨城医療センター精神科科長の桝屋二郎氏は、福島県で学校支援を続ける。地震ごっこや津波ごっこについて「心の整理や不安、恐怖の克服、現実に向き合う助けになる」と指摘、「むやみにやめさせず、大人が安心・安全なシチュエーションに誘導する必要がある」と述べた。
 編著者は三重大教育学部教授。
 中央法規出版03(3834)5812=2376円。

河北新報
2019年2月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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