人を動かす「色」の科学 松本英恵著…サイエンス・アイ新書 1000円

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人を動かす「色」の科学

『人を動かす「色」の科学』

著者
松本 英恵 [著]
出版社
SBクリエイティブ
ジャンル
芸術・生活/芸術総記
ISBN
9784797398212
発売日
2019/01/17
価格
1,080円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

人を動かす「色」の科学 松本英恵著…サイエンス・アイ新書 1000円

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

色彩のマジカルな効果

 日本人は平均して一人あたり三・五個の銀行口座を持っているとか。お手元に通帳があったら、ちょっと見てみてください。何色ですか? ちなみに三大メガバンクのコーポレイトカラーは赤と青と緑。赤は「情熱や活力」、青は「信頼や誠実さ」、緑は「調和や成長」を表す色なので、銀行にはふさわしい色合いだし、他にも多くの企業や組織で使用されている――というような色彩に関する豆知識がいっぱいの本書の著者はカラーコンサルタント。「似合う色」「売れる色」「心をつかむ色とデザイン」を操るプロだ。

 日常に溢(あふ)れる色彩のマジカルな効果には、科学的な裏付けと、それをもとにした創意工夫がある。もう一つ例をあげるなら、七十六ページ。

「1年で2億ドルを稼ぎ出したGoogleの青とは?」。

 これはGoogleが自社のビッグデータを分析して「利用者のクリック数を最大化できる最高の青色」を突き止め、テキストリンクの表示に使ったら、広告収入が一年で二億ドル増えたというお話。ユーザーは、テキストリンクの色によって、クリックやタップの確率が変わるのだそうです。私らいいように操られてンだなあと思う半面、確かに、検索で表示されるテキストリンクが赤色や黄色だったら、「何かまずいのかな」と一瞬クリックをためらってしまうかも――と納得。人は、自分で意識している以上に「色」に左右されているのです。

 ビジネスの場で役立ちそうなトピックが多いなか、第4章「自分やチームを成功に導く『色の法則』」で、「秘密戦隊ゴレンジャー」などの戦隊もののメンバーのカラー分けの法則と、個々のカラーが象徴するキャラクターや役割分担の変遷について分析しているパートが、ぐっと異色で興味深い。戦隊ものだけでなく、特撮ものというジャンル全体を「色の法則」で分析したらどうなるのか、ぜひ試みていただけませんか。今、正義の色は何色なんでしょう。

読売新聞
2019年2月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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