「言語と美術 平出隆と美術家たち」 平出隆編著

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言語と美術 平出隆と美術家たち

『言語と美術 平出隆と美術家たち』

著者
平出隆 [著]
出版社
港の人
ISBN
9784896293555
発売日
2018/12/14
価格
3,240円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

「言語と美術 平出隆と美術家たち」 平出隆編著

[レビュアー] 鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手)

 本が、葉書が、言葉が、宙に浮いている。

 詩人・平出隆の発想に基づいた、DIC川村記念美術館での展覧会は、先月既に閉幕している。その図録である本書は、写真による会場風景の再現にとどまらない完成度を誇る。

 理由は、青木淳の会場構成だ。建築家であり「建築文学」を提唱した青木は、平出の言う「空中の本」をワイヤーやアクリル板を使って設計する。会場は一つの物語のように「建築」され、その空間から、本が、空中へと放たれる。

 展示物が吊(つ)るされているだけ、ではない。そこに書かれた言葉や、さらには、書かれなかった思考までもが、宙吊りにされている。浮遊する言葉は、空間に媒介され、美術と「終わりなき対話」をかたちづくる。

 本書名の通り、何かと何かのあいだには「と」がある。この「と」に向き合って考えるためのヒントが詰まっている。(港の人、3000円)評・鈴木洋仁

読売新聞
2019年2月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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