日本の財政の“ヤバさ”を知らしめる新書

レビュー

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データが語る日本財政の未来

『データが語る日本財政の未来』

著者
明石 順平 [著]
出版社
集英社インターナショナル
ジャンル
社会科学/経済・財政・統計
ISBN
9784797680331
発売日
2019/02/07
価格
972円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

楽観論では済まされない日本の財政の“ヤバさ”

[レビュアー] 小飼弾

「2018年の実質賃金の前年同月比の伸び率の大半が実はマイナスだった」。それを見抜いた一人が上梓したのが『データが語る日本財政の未来』(明石順平)。残念ながら執筆されたのは統計不正発覚直前ではあるが、著者はそれ以前から現政権がどういう手口で数字を作ってきたかをブログや前著『アベノミクスによろしく』で再三指摘してきた人でもある。しかし本書の主題はアベノミクスのヤバさではない。日本の財政のヤバさである。

 GDPの倍以上、無条件降伏間際の大日本帝国に匹敵する現代日本の借金だが、実はヤバくないのではないか。そういう意見が年々強くなっている。曰く「海外からは借りてない。むしろ貸付の方が多い」、曰く「債務も大きいが資産も大きい」、曰く「実際に払ってるのは金利だけ。超低金利なら借りまくった方が得」……。本書の役割は、その考えや実情もやはりヤバいことを知らしめるところにある。超低金利が終わるだけで終わってしまうではないか日本。

 昨日出来なかったことが今日出来るようになることが進歩なら、昨日出来てたことが出来なくなるのは退歩である。現代日本の財政ではもはや利上げは許されない。この点において日本は確かに退歩した。

 ではアベノミクスとは何なのか? 「楽観論を斬る!!」という本書のオビで斬られた一番の楽観論がそれだ。楽観は初めて国債を発行した1965年にまで遡る。それから53年の歩み、本書で改めてご覧あれ。

新潮社 週刊新潮
2019年2月28日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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