勝間式 超コントロール思考 勝間和代著 アチーブメント出版

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勝間式超コントロール思考

『勝間式超コントロール思考』

著者
勝間和代 [著]
出版社
アチーブメント出版
ISBN
9784866430430
発売日
2019/02/02
価格
1,320円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

勝間式 超コントロール思考 勝間和代著 アチーブメント出版

[レビュアー] 坂井豊貴(経済学者・慶応大教授)

 私は数年前まで熱心な「カツマー」であった。『断る力』をはじめ、仕事術の本は何度も読みかえした。論理的な説明が特長で、他の凡百のビジネス書とは、ものが違っていた。だが私は近年の勝間さんの著作を手にとっていない。たんに近年は家事や調理についての著作が多く、私はそれらにあまり関心がなかったからだ。本書を読んで私は自分の浅はかさに気付き、このたびカツマーに復帰した次第である。

 この本で勝間さんは、環境を「コントロール」する重要性を説く。前提とするのは、とくに優秀でもなく、意志が強くもない自分だ。そのような自分でさえも、高い生産性を発揮でき、快適に過ごせるようにする。そのためのコントロールを全力で考え抜く。たとえば苦手な仕事は断る、洋服の数は全体を管理できる量にとどめる、長期的な互恵関係を結べるよう他人に親切にする、等々である。ときには優れた音声入力のマイクを求めて、10本買い替えたりもする。

 私が一番勉強になったのは、最新の調理家電を用いることだ。技術が発達した現在、火を使わずとも、美味(おい)しい健康食が簡単に作れるのだ。実際に私は、お薦めされている電気鍋を購入して「無水カレー」を家族に作ってみたが、評判がとてもよい。しかも具材を鍋に投入したらスイッチを押すだけなので、調理という感覚がほとんどない。昨今「人工知能が仕事を奪う」といった言説が流行(はや)っているが、その前に電気鍋に調理を任せてしまうべきである。

 読者は勝間さんと全ては同じことをせずとも、同じように思考を働かせ、自分に適したコントロールを見出(みいだ)せばよいだろう。その際には勝間さんの思考と試行とが、優れた教材になるはずだ。自分という人間は変えられずとも、選択を通じて環境は変えられる。そうして主体的に、幸福な生活をつくる。本書には断捨離がなされた自宅で過ごす勝間さんの写真が何枚か収められているが、表情の清々(すがすが)しさが印象的だ。

読売新聞
2019年3月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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