子どもの才能を引き出す「お金」の力。そのために教えたい2つの大切なこと

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子どもの才能を引き出す「お金」の力。そのために教えたい2つの大切なこと

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

全米No.1バンカーが教える 世界最新メソッドでお金に強い子どもに育てる方法』(酒井レオ著、アスコム)の著者は、ニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちのバイリンガル日系アメリカ人。

日本とアメリカ双方の文化に影響を受けて育ち、ワシントン大学卒業後、JPモルガンを経て、コマース銀行(現TD銀行)に入社。

バンク・オブ・アメリカに転職後には30代前半の若さでヴァイスプレジデントに就任した人物です。

また、志を持って渡米してくる人たちを応援したいとの思いから、NPO法人Pursue Your Dream Foundation(PYD)をも設立しています。

いわば銀行業界からグローバルビジネス教育の世界へ転身を果たしたわけですが、そんな経緯を経てきただけに、そして日本の教育ではお金について学ぶ機会がほとんどないことを知っていることもあり、声高に主張したいことがあるのだそうです。

それは、「お金を学び、お金に強くなる」ことこそ、将来子どもが幸せになるためにパスポートであるということ。

なお、ここでいう「お金に強くなる」とは、大金持ちを目指そうということではないのだといいます。著者が考える「お金に強い人間」とは、

1. お金の価値を知っている

2. お金で世界が回っていることを知っている

(5ページより)

そしてその結果、お金に振り回されない生き方をしている人だというのです。

なぜならそういう人は、お金に関する無駄な心配や苦労がなくなり、自由な時間を確保でき、自分のやりたいこと、好きなことに全力投球できるものだから。

しかもITの進化によって世界に国境がなくなったいま、子どもたちにも世界で闘う力が必要。

しかし世界と闘うためのスキルは「人間力」というべきものであるだけに、大人になってからでは身につけられないものでもあります。

そこで本書では、子どもが小学生くらいまでのうちに身につけておくべきことを紹介しているのです。

お金に強くなるメソッド」と「世界で活躍するメソッド」の2本立てになった本書内のChapter 1「お金に強い子どもに育てる」のなかから、2つのトピックを抜き出してみることにしましょう。

ここで紹介されているメソッドを活用すれば、お金に振り回されない人生を歩めるようになるだろうと著者は記しています。

お小遣いは絶対にあげない

日本の子育て本などにおいては、「子どもが小学生になったらお小遣いをあげる? あげない?」というようなテーマを目にすることがすくなくありません。

しかし、この問いに対する著者の答えは「お小遣いは絶対あげない」なのだといいます。

なぜなら、お金は労働の対価だから

なんの労働もしていないのに、毎月、決まった額のお金が手に入ることなどありえないということです。

著者が育ったようなユダヤの家庭に受け継がれている“帝王学”では、当たり前すぎる考え方なのだとか。

このような考えに対しては、「お金を管理することで、お金とのつきあい方が身につく」という反論もあるでしょう。

しかし、お金の本質を知らないままつきあい方だけを学んでも、将来、お金を生み出す子どもにはなれないと著者は主張するのです。

お小遣いは、毎月決まった額がもらえるお給料の縮小版だと考えることができます。だとすればまずは親の側が、これからの時代の多様な働き方について考えを改めなければならないといいます。

これからの時代は“好き”を仕事につなげていく人が増え、スペシャリストとして個人で働く人や起業家が増えてくるはず。そんな時代にお金の使い方しか学ばないことは、リスクでしかないというのです。

なお、お金に関しては、大人になったときを想像していると考え方がぶれないそうです。

大人になってから、働かずにお給料をもらう人はいません。同じことで、もしお金をあげるなら、その金額に見合うだけの労働が必要であると考えるべきだということ。

それはシンプルでありながら、お金の本質について学ぶいい機会だといいます。

玄関の掃除1回10円、家中のフローリングを雑巾がけしたら20円、風呂全体を掃除したら30円など、労働力に見合う対価を設定して、自分で稼ぐ喜びを味わいながらお金を手に入れたほうが、身につくことは圧倒的に多いでしょう。(38ページより)

大人に限らず、人間は誰でも楽をしたい生き物です。

たとえば「1回の風呂掃除でもらえるお金は30円」という部分が変わらないとすれば、「どうしたら効率よく、短時間で風呂掃除を終えられるか」を考えはじめます。それこそが、想像力や発想力といったクリエイティブな思考の源だということ。

実行してみて、うまくいかないところは修正し、試行錯誤しながら自分なりの“”を生み出していくところにおもしろみがあるわけです。

しかも労働の対価として得たお金を貯金箱に貯めていけば、労働の重みを肌で感じることができます

電子マネーや仮想通貨など実際のお金を手にすることが減ってきている時代だからこそ、こうした原始的な方法に価値が生まれるのだと著者は言います。

一方、なにもせずに定額のお小遣いをもらえるとしたら、もらう前から「次のお小遣いが入ったらアレを買おう」と、頭のなかが物欲に支配されてしまうことになるでしょう。

自分で働いて得たお金だという思いがないため、消費することにばかり目が向いてしまい、お金を生み出す力が育たないわけです。(36ページより)

子どもの「アレ欲しい」は、ひとまず無視する

著者もお小遣いの制度のない家庭に育ったわけですが、かといって欲しいものをなにも買ってもらえなかったというわけではなく、親にねだったこともたくさんあったといいます。

ただし、そんなときの両親の答えは非常に明快だったのだそうです。

1ヶ月経っても欲しい気持ちが変わらなければ、そのときに考えましょう」と言われるのが常だったというのです。

子どもの「アレ欲しい」は突風のようなもので、一瞬の感情でしかありません。

その瞬間は泣きわめいて執着するものの、「アレ欲しい」の9割近くは30分も経てば記憶から消えてしまう程度のものでもあります。

翌日まで欲しい気持ちが尾を引いていたとしても、時間の経過とともに「本当にアレは必要かな?」と冷静に考えられるようになり、多くの場合は、親を説得してまで手に入れる必要はなく、いまの生活になくても困らないものであることを知るものであるわけです。

「本当にアレは必要かな」と考えることは、とても大事です。今の世の中、欲しいものは次から次へと出てきます。

そのたびに必要かどうかを考え続けていると、自分という人間は何に価値を置き、どんなものであればお金を支払ってまで手に入れたいと思うかが明確になっていきます。

そうすることで、物欲に振り回されることがなく、物事の本質をシンプルに見極められる人生が手に入ります。(41~42ページより)

なにかひとつを突き詰めるためには、自分にとって重要でないものは切り捨てる。そんなシンプルな決断力が求められるわけです。

その一方、自分が本当に必要だと感じたものだったとしたら、それを手に入れるための熱意と交渉力も必要となってきます

たとえば著者の家庭の場合、もし1ヶ月経っても気持ちが継続している場合は、そこから交渉が始まったのだそうです。

自分はなぜこれが欲しいのか」「これを手に入れたらどう活用するのか」など、子から親へのプレゼンが通らなければ買ってもらえなかったということ。

だからこそ、欲しいものがあるときには、プレゼンまで含めてあれこれ考える癖がついたのだといいます。

お金があってもただ蓄えるだけでは、人生に彩は生まれないもの。かといって、欲しいものをなんでも買って入ればお金が底をつき、人生を棒に振ることになります。

しかし小さなころから「自分にとって価値あるもの」を判断する癖がついていれば、必要なものにはしっかりお金を投じることができ、不必要なものを買うか買わないかで悩む時間もカットすることが可能。

「Time is money」の精神は、こうした些細な経験から育まれていくものだというのです。(40ページより)

このように、著者の考え方はシンプルで、当たり前なことでもあります。

しかし現実問題として、それを実践できている人は限られてもいるはず。

だからこそ親が原点に立ち返り、お金に対する価値観を子どもに伝えていくべきなのではないでしょうか?

Photo: 印南敦史

Source: アスコム

メディアジーン lifehacker
2019年3月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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