[紀伊國屋じんぶん大賞2019 第1位]誰のために法は生まれた

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誰のために法は生まれた

『誰のために法は生まれた』

著者
木庭顕 [著]
出版社
朝日出版社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784255010779
発売日
2018/07/25
価格
2,035円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

誰のために法は生まれた

[レビュアー] 小山大樹(紀伊國屋書店・札幌本店)/林下沙代(紀伊國屋書店・札幌本店)

【選 小山大樹】
 中高生向けにローマ法の大家が行った特別授業。導入に用いるのは、映画『近松物語』、『自動車泥棒』に、ギリシア悲劇『アンティゴネー』など、一見法学とは関係が無さそうに見える。著者はこれらのテクストの中に「グル」や「ブロック」といった概念を挿入することで、「法は何を解体するか?」「人権は何を保証するか?」といった問いを生徒の内側に開いていく。その手腕もさることながら、極めて現代的な問題意識を持って構成された本授業は、現代の日本においても重要な意味を持つように思われる。

【選 林下沙代】
 気の遠くなるような年月を経てもなお、残されてきた古典作品に込められているエッセンスは、問題と格闘しながら答えを出してきた人々が残した、祈りのようなものなのかもしれない。

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紀伊國屋じんぶん大賞2019

「紀伊國屋じんぶん大賞」は、「読者の皆さまと共に優れた人文書を紹介し、魅力ある『書店空間』を作っていきたい」との思いによって立ち上げられた人文書の賞。一般読者の方々からいただいたアンケートを元に、出版社、紀伊國屋書店社員による推薦を加味して事務局にて集計し、ベスト30を選定している。
※2017年12月~2018年11月(店頭発売日基準)に刊行された人文書を対象とし、2018年11月1日(木)~11月30日(金)の期間にアンケートを募りました
※当企画における「人文書」とは、哲学・思想/心理/宗教/歴史/社会/教育学/批評・評論に該当する書籍(文庫・新書含む)としております
※推薦コメントの執筆者名は、一般応募の方は「さん」で統一させていただき、選考委員は「選」 、紀伊國屋書店一般スタッフは「所属部署」を併記しています

紀伊國屋書店
2019年3月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

紀伊國屋書店

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