ソ連歌謡…蒲生昌明著 パブリブ

レビュー

7
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ソ連歌謡

『ソ連歌謡』

著者
蒲生昌明 [著]
出版社
パブリブ
ジャンル
芸術・生活/音楽・舞踊
ISBN
9784908468308
発売日
2018/12/10
価格
2,484円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

ソ連歌謡…蒲生昌明著 パブリブ

[レビュアー] 鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手)

 「ソ連」である。ロシアではない。「歌謡」である。民謡ではない。

 日ソ共同宣言調印と同年生まれの著者は、米ソ緊張緩和の頃から、短波放送を通じてソ連歌謡に親しむ。本書は、ソ連解体以降にあまり興味を示さない懐古の情と、音楽業界人でもインテリゲンチャでもないゆえの偏愛に満ちる。

 ドストエフスキーやスクリャービンをはじめ、高級文化における彼(か)の国から日本への影響は、大きい。また、共産圏にはロックやジャズはないと思い込まされていた。

 ところが、ソ連の美空ひばりもフランク・シナトラもいたという。大スターのアーラ・プガチョワはビートルズに匹敵する。

 ソ連を知る世代は、224頁(ページ)ほぼ全てに登場するジャケット写真から、当時の思い出とともに中身を想像できる。知らない世代は、「動画検索のキーワード」を入り口に、ムスリム・マゴマエフの歌声に聞き惚(ほ)れたり、ゾディアークとYMOを聴き比べたりできる。

 「音楽は旅の友」だから、本書を携えて、現実と空想の「ソ連」への旅に出よう。

読売新聞
2019年3月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加