怖いへんないきものの絵…中野京子 早川いくを著

レビュー

8
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怖いへんないきものの絵

『怖いへんないきものの絵』

著者
中野京子 [著]/早川いくを [著]
出版社
幻冬舎
ISBN
9784344034037
発売日
2018/12/19
価格
1,650円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

怖いへんないきものの絵…中野京子 早川いくを著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 『怖い絵』の中野京子さんと『へんないきもの』の早川いくをさんが、西洋絵画に描かれている不気味で可笑(おか)しい生きものを題材に楽しくやりとりする。中野さんを先生と仰ぐ早川さんの物知りで知的好奇心旺盛な男の子的な鑑賞がユニークで、つい吹き出してしまいながらもしっかり勉強になります。

 美麗なカラーで収録されている数々の名画のなかの変な生きものは、カニ、ハエ、サメ、ハチ、オオカミ、サル、タコ等々多種多様。「へんないきもの」という尺度を持ち込まず、これらの名画を普通に観(み)るだけでは気づきにくい不思議さ、愛らしさ、面白み、謎めいた意味や深い物語性に驚かされる。中野先生はエイが大嫌いだというミニ知識もゲットできます。

 早川さんがぱっと見の印象だけを頼りに絵画を語ろうという(笑)コラム<見た目で印象派>〈1〉のビアード作『死の力』に描かれている、不運なトラをがっちり捕らえている「精力絶倫の爺(じい)さんのような」死神は、本家『怖い絵』シリーズの名画まで合わせてもトップ5に入りそうな恐ろしさ。ぜひご覧ください。(幻冬舎、1500円)

読売新聞
2019年3月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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