いまさら聞けない、けど大切。日常業務における「ビジネスマインド」

レビュー

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今さら聞けない仕事の超基本

『今さら聞けない仕事の超基本』

著者
石川和男 [監修]
出版社
朝日新聞出版
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784023332669
発売日
2019/03/20

書籍情報:版元ドットコム

いまさら聞けない、けど大切。日常業務における「ビジネスマインド」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

いままさに未知の環境で奮闘している新社会人にとっても、あるいは相応の経験を積んできた中堅層にとっても、「仕事の基本」はなかなか人に聞けないもの。

最初の段階で必ずしもすべてを教えてもらえるわけではなく、にもかかわらず知っていなければならないことは、決して少なくないからです。

そこで参考にしたいのが、『最新ビジネスマナーと 今さら聞けない仕事の超基本』(石川和男監修、宮本ゆみ子著、朝日新聞出版)です。

監修を務めるのは、以前ご紹介したことのある『残業ゼロのノート術』を送り出した“スーパーサラリーマン”。

著者は、アナウンサー、ライター、コミュニケーションコンサルタントと幅広く活躍する人物です。

監修者は本書の冒頭で、失敗には「よい失敗」と「悪い失敗」があると指摘しています。

よい失敗とは、新しいことにチャレンジし、企画、提案したことがうまくいかなかった場合のこと

チャレンジした結果が次につながるような失敗は、成功するうえでの必然だということです。一方の悪い失敗とは、学習していれば回避できたこと

たとえば、名刺交換、乗り物の席次、敬語の使い方、電話のかけ方、文書の書き方…、これらにはルールがあり、そのルールさえ知っていれば失敗は防げます。まさに「知っていたか、知らなかったか」だけの問題。

私も20代のころは、歩きながらお辞儀をして叱られ、名刺を両手で受け取らずに注意され、無礼講という言葉を真に受け大騒ぎして先輩に怒られ、「賀正」と書いた年賀状を上司に送って間違いを指摘されました。

これらの失敗は、知っていれば、すべて防げたのです。 まさに、この本を読んでいれば回避できました。(「はじめに」より)

他にも急な接待や社内会議での段取り、自己紹介の仕方など、「正解」がわからず戸惑ってしまうことはさまざま。

そんなとき本書を確認すれば、すぐに対処法を知ることができ、失敗も回避できるというわけです。

きょうはそのなかから、Chapter 8「ビジネスマインド」に焦点を当ててみたいと思います。

「生産性」を考えなおす

日本では長いあいだ、多くの人手と長い労働時間をかけることによって利益を増やそうとしてきました。

ところが近年は労働力不足を背景として、この点を見なおし、生産性を高めることに意識が向けられるようになっています

生産性とは、つぎ込んだ労働力に対してどれだけのものを生み出せたか、という割合のことです。(178ページより)

この計算の分母に当たる労働力を増やせば、生産性の値は小さくなることに。逆に減らせば、生産性の値は大きくなります。

同じものを同じ時間でつくるときのことを考えてみましょう。

10人でつくるのと5人でつくるのをくらべたら、当然のことながら5人でつくったほうが生産性は高いと言えます。

また、Aさんは3日かかった仕事をBさんが2日で終わらせたとするなら、Bさんのほうが生産性は高いことになるわけです。

労働人口の低下や、日本の国際競争力の低下は、すぐに解決できるものではありません。とはいえ、利益を上げていくことは重要。

そこで必要となってくるのは、残業などの労働時間を多くして成果を増やすのではなく、働く人がそれぞれのスキル向上などを通して生産性を高めていくこと。

効率を高め生産性を上げることで1人ひとりの労働時間が短縮され、仕事と生活の調和を図るワークライフバランスを整えることもできます。(178ページより)

つまり働き方改革が目指そうとしているのは、いまの時代に即した方法によって生産性を高めることであるわけです。(178ページより)

「価値」を考える

別な表現を用いるなら、ムダに時間をかけるのではなく、少ない労働時間でも多くの成果を求められる時代であるということ。

一般的には、多くの時間をかければより多くのものを生み出すことができます。しかし、いま求められているのはそういう働き方ではないということなのです。

よって、タイムカードを押して残業扱いにならないようにして仕事を続けるサービス残業などは論外

仕事の価値は時代や状況、また人によってさまざまですが、いま「価値が高い」とされるのは、生産性の高い人材

コストを下げてより多くのものを生み出すことが、高く評価されるということです。

「コストカット」ということばには「お金をかけないこと」という印象がありますが、必ずしもそうではありません。

自分ですべてをやり通すより、お金を払って他人に任せたほうが効率がよいのであれば、そのお金はたいしたロスにはならないわけです。

むしろ、ひとりでやり通そうとしたときの「時間」や「労力」のほうがコストが高いと考えることもできます。

ビジネスの世界では、正しくお金を使えばあとからお金が入ってきます。最終的にプラスになるのであれば、それはむしろ生産性を高めることになるのです。

費用対効果を検討し、お金をかけることで解決できることは、お金で済ませるという視点ももっておきましょう。(180ページより)

また生産性を高めるためには、成果に付加価値を与えることも必要

付加価値とは、これまでになかった新しいものや独自のものを、商品やサービスにつけ加えること。

必ずしも新しいことを生み出すという意味ではなく、既存のものでも視点や使い方を変えることによって新たな価値を生み出すことが可能になるわけです。

しかもそれは、新規事業や企画に携わる人だけに限ったことではありません。

たとえば事務的な作業においても工夫することで効率化を図り、従来の仕事に新たな価値を生み出すことは可能なのです。

いいかれば、生産性を高めるためのヒントは、さまざまな場面にあるということ。(180ページより)

優先順位をつける

仕事の生産性を上げるためには、時間管理をしっかりと行うことが大切

そのためには、するべきことをすべて書き出し、優先順位をつけてから取りかかる必要があるといいます。

だとすれば気になるのは、「どのように優先順位を決めればいいのか」ということですが、ここで一般的に使われるのは「緊急度」「重要度」「手順」を軸とすることです。

緊急の仕事を先にやるのはもちろんですが、重要度の高い仕事も優先させるべき。

なぜなら重要な仕事を後回しにした結果、十分な検討時間が取れなかったり、やっつけ仕事になってしまう可能性があるからです。

また、盲点となりやすいのが「手順」

たとえば、他部署から資料を受け取らないとできない書類の作成を担当したとき、取りかかろうという段になってから他部署に資料請求したとしたら、届くまでの時間がムダになってしまいます。

緊急なことや重要なことをするにあたっては、「その前にやらなければならないこと」を見落とさないようにする必要があるのです。

優先順位を決めたら、朝のミーティングで報告するなど、上司や先輩にチェックしてもらうといいそうです。

経験が浅いうちは、なにが緊急でなにが重要か、判断を間違えてしまうこともあるもの。しかし上司は、部下よりも高く広い視点から業務全体を見通しています。

そのため、まずは自分の考えた優先順位を報告することが大切。その次に上司や先輩からのアドバイスを取り入れ、To Doリストを修正すればいいわけです。

意識しておくべきは、自分や身内の都合ではなく、お客様を優先すること。

そのためには、「会社にとってなにがもっとも優先順位が高いのか」を考えることが重要です。

社内でやり取りのある業務のほうが視界に入りやすいため、ついそちらが緊急性のある重要な仕事であるように感じてしまうかもしれません。

しかし、本来まず大切にすべきはお客様なのです。だからこそ、この順序を間違えないようにすべきだということ。(186ページより)

「他にも身だしなみ・あいさつ・ふるまい」「言葉づかい・話しかけ」「電話応対・文書・メール作成」「制度・手続き」「効率化・人間関係」「冠婚葬祭・つき合い」「より良い関係」と、さまざまなビジネスマナーについてのノウハウが簡潔にまとめられています。

1項目1見開きでコンパクトにまとめられており、図版も豊富なので読みやすさも抜群。デスクサイドに常備しておけば、なにかと役に立ってくれそうです。

Photo: 印南敦史

Source: 朝日新聞出版

メディアジーン lifehacker
2019年4月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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