レコード越しの戦後史…とみさわ昭仁著

レビュー

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レコード越しの戦後史

『レコード越しの戦後史』

著者
とみさわ昭仁 [著]
出版社
Pヴァイン
ISBN
9784909483201
発売日
2019/02/27
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

レコード越しの戦後史…とみさわ昭仁著

[レビュアー] 戌井昭人(作家)

 戦後から平成元年までに起きた事件や事故、流行などを振り返り、それらを受けて発売されたレコードを紹介している。レコードはヒット曲もあれば、珍品まで幅広い。

 とにかく社会現象と共に膨大なレコードが作られてきたことに驚く。現在だと「発売できるの?」と思える歌もあるが、そこに昭和の大らかさを感じる。それにしても人間は何でも歌にする生き物なのだと本書を読んで思った。

 これらのレコードを集めて歴史とすり合わせた著者のとみさわ昭仁さんは、珍レコードのコレクターとして有名だが、珍の度合いが凄(すさ)まじく、様々な情報が詰まっている。

 個人的には、ジャイアント馬場の「満州里(まんちゅり)小唄」が取り上げられていたのが興味深かった。この曲は聴いたことはあったが、どうしてこのようなものが世に出たのか不思議だった。本書の説明には「歌詞はほとんど聴き取り不能。ロック漫筆家の安田謙一氏はそれを『ジャイアント馬場という“管”を通して鳴る音』と形容した」とあるが、これは時代のヒーローが生んだレコードだった。まさしく歌は世につれ世は歌につれなのだ。(Pヴァイン、1800円)

読売新聞
2019年3月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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