へいわとせんそう…たにかわしゅんたろう・文、Noritake・絵 ブロンズ新社

レビュー

3
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へいわとせんそう

『へいわとせんそう』

著者
たにかわしゅんたろう [著]/Noritake [イラスト]
出版社
ブロンズ新社
ジャンル
芸術・生活/絵画・彫刻
ISBN
9784893096579
発売日
2019/03/13
価格
1,296円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

へいわとせんそう…たにかわしゅんたろう・文、Noritake・絵 ブロンズ新社

[レビュアー] 一青窈(歌手)

 この絵本は理屈抜きに直球で心に訴えてくれる。むずかしいことは何一つ書かれていない。私たちに何ができるのか、といった大きな命題のような重苦しい問題提起をするわけでもなく、へいわのときとせんそうのときの様子をただひたすらに並列にならべてみせてくれる。

 我が子の反応がみたくてすぐに読んで聞かせた。1回目は絵を追いながら谷川さんが書いたままの言葉を飲んでいた。もう1回読む?と聞くと「うん」と即座に答えたので、こんどは絵から拾ったわたしのことばも添えて読んだ。するともうじき4歳になる息子から「なんで木がばらばらなの」「なんでおうちが壊れてるの」「なんでまっくらなの」と次々と質問が矢継ぎ早に飛んできた。そう、なんでなんでのれんぞくがせんそうだね。

 「へいわのボク」「せんそうのボク」。絵やメッセージがシンプルであればあるほど、子供との会話は増えると実感した絵本である。ごっこ遊びの指鉄砲の撃ち合いや、映画やテレビの中で繰り広げられる銃撃戦を浴びるように観(み)て「ぼくも撃ちたい」と言う我が子になんと答えればいいのだろう。そもそも撃つことに正義はあるのだろうか。何の為(ため)に銃は存在するのだろうか。「撃っても撃たれてもこころは痛いよ」「銃のない世界がいいね」どれもしっくりこないまま、またページをめくって親子で考える。

 隣で子供も考えている。締めくくりで強烈なインパクトを残してくれるみかたのあかちゃん、てきのあかちゃんはこの絵本にしか表現できない形でへいわをみせてくれる。下の娘が「だっこしたい」と呟(つぶや)いた。

 うん、すべての人が赤ちゃんを抱っこしたいと思うのがへいわだね。最後に頬笑(ほほえ)みと心に決意のような灯火(ともしび)をつけてくれる絵本だ。

読売新聞
2019年3月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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