根っこと翼…末盛千枝子著

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根っこと翼 皇后美智子さまという存在の輝き

『根っこと翼 皇后美智子さまという存在の輝き』

著者
末盛 千枝子 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103400226
発売日
2019/03/29
価格
1,404円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

根っこと翼…末盛千枝子著

[レビュアー] 尾崎真理子(読売新聞本社編集委員)

 無二の親友が明かす、美智子さまの素顔と秘話――帯の惹句(じゃっく)を裏づける長年のエピソードが、折々の心情のこもったご本人の言葉を引きながら、驚くほど率直に、具体的に述懐されていく。

 著者は絵本に関わってきた出版人。国際児童図書評議会(IBBY)会長を務めた故・島多代、児童文学者の松岡享子両人と一緒に、皇后さまの力を得て子どもの本の活動を続けてきた。

 平成10年(1998年)、インドのIBBY世界大会で行われた基調講演(『橋をかける 子供時代の読書の思い出』文春文庫)は、いかにして実現に至ったか。その5年前に〈お声を失われ〉、どのような物語の力を得て回復されたのだったか。そして、平成27年の歌会始で詠まれた、〈来(こ)し方に本とふ文(ふみ)の林ありてその下陰に幾度(いくど)いこひし〉。その背景に広がる多分野の著作者らとの出会い、読書、音楽、祈りの日々……。

 公務を尽くされながらも、詩人、芸術家であり続けるその〈素顔〉が、陰影深く刻まれている。明かす側にも覚悟が要ったはずだが、歴史が必要とする証言だろう。(新潮社、1300円)

読売新聞
2019年4月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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