『御納屋侍 伝八郎奮迅録 みずすまし』
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【気になる!】文庫 『御納屋侍 伝八郎奮迅録・みずすまし』
[レビュアー] 産経新聞社
呪術(じゅじゅつ)の力が幕政を左右した元禄の時代。5代将軍・徳川綱吉が発した「生類憐みの令」は、綱吉とその母に取り入った怪僧、隆光の進言によるものだった。
魚釣りの腕を買われて尾張藩の支家に夢の仕官を果たした若い浪人、鮎貝伝八郎の身にさまざまな試練と危難が降りかかる。支家の役目は“お犬さま”などの弊害を尾張藩に代わって陰で取り除く微禄の実動部隊だったのだ。出世と保身に走る幕閣による忖度(そんたく)で、憐みの令の適用範囲は拡大の一途。官僚の本質は、いつの世も変わらぬものらしい。シリーズ2作目。(長辻象平著、双葉文庫・602円+税)