『名も知らぬ夫』
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【気になる!】文庫 『名も知らぬ夫』
[レビュアー] 産経新聞社
30歳を過ぎて母親と二人暮らしの市子の前に、長年音信不通だったいとこの圭吉が現れる。圭吉と一つ屋根の下で暮らし、結ばれた市子は、ふとしたきっかけから圭吉に違和感を覚えるように…(表題作)。
推理小説黄金時代の優れた作品を復刻する昭和ミステリールネサンス・シリーズの一冊。元タカラジェンヌで昭和34年の江戸川乱歩賞を受賞するなど、女性推理作家として活躍した著者の8編を収録している。
小道具や設定には時代を感じさせるものもあるが、〈したたかに生きる女性〉たちを描く物語に古さはなく、堪能できる。(新章文子著、山前譲編、光文社文庫・880円+税)