『パイパーさんのバス』
- 著者
- エリナー・クライマー [著]/クルト・ヴィーゼ [イラスト]/小宮由 [訳]
- 出版社
- 徳間書店
- ジャンル
- 文学/外国文学小説
- ISBN
- 9784198645748
- 発売日
- 2018/02/20
- 価格
- 1,540円(税込)
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『パイパーさんのバス』
[レビュアー] 渡部圭介
■人と動物の温かな交流
主人公のパイパーさんは町のバスの運転手。家族はなく、アパートの部屋に帰っては、作ったごはんを1人で食べ、皿を洗い、寝るまでテレビを見て過ごす。
そんな寂しいパイパーさんの生活は、ある日を境にがらっと変わる。きっかけは1匹の迷い犬との出会い。新たな「家族」との遭遇はさらに続き、猫やひよこまで。暮らしはにぎやかになったが、アパートの大家はカンカン。パイパーさんは動物たちを連れ、もらい手を探す旅に出る。「この子たちがいなくなったら、わたしがどうなる?」という迷いを抱えながら。
動物たちは鳴くことはあっても、言葉は話さない。が、パイパーさんと動物たちとの交流は温かく、パイパーさんの誠実な人柄が浮かぶ。だからこそのハッピーエンドに、読み終わって思わずにんまり。
動物虐待やペットの殺処分といったニュースを聞くと、心が痛む。パイパーさんみたいな心持ちの人が増えれば、人間にも、動物にも幸せな社会になると思うのだが。(エリナー・クライマー作、クルト・ヴィーゼ絵、小宮由訳/徳間書店・1400円+税)
渡部圭介