不機嫌でいることにメリットはない! つらい仕事を楽しくする思考法

レビュー

4
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グッドバイブス ご機嫌な仕事

『グッドバイブス ご機嫌な仕事』

著者
倉園佳三 [著]
出版社
インプレス
ISBN
9784295005476
発売日
2019/02/15
価格
1,620円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

ご機嫌な仕事環境を手に入れる“心の働き方改革”のススメ「グッドバイブス」

[レビュアー] 足立謙二(ライター)

 “働き方改革”がちょっとした流行語になりつつある今日このごろですが、自分にとって理想的な働き方とはと改めて問われると、即答できる人は案外少ないのではないでしょうか。そもそも、「仕事をすること=食べていくための手段」と割り切って、それ以外の時間を楽しく過ごすために避けては通れない苦行や障害のように捉えている向きが強いのではないのではないでしょうか。幸運にも好きな仕事に就くことができている人でも、そのすべての時間を“ご機嫌に”過ごせていると言い切れているかといえば、「多少の犠牲は仕方がない」とついつぶやいてしまいがちです。

 そんな、「つらい」という言葉がつきまとう仕事の既成概念を根本から捉え直し、どんな仕事も“ご機嫌な仕事”に変えてしまおうと説くのが、『グッドバイブス ご機嫌な仕事』(倉園佳三著・インプレス刊)という一冊です。

 著者は、ミュージシャンであり雑誌『インターネットマガジン』(インプレス刊、現在は休刊)元編集長という経歴を持つ倉園佳三さん。ITコンサルタントでもあり、デジタルガジェットを駆使したライフハック術の著書も手掛けるなど幅広い遍歴を持つクリエイターです。

 タイトルにある「バイブス」とは、自分の「意志」や「思い」を指す言葉。波のように共鳴や共振を起こすバイブスは、周囲の人たちを巻き込んで気分を良くすることもあれば、どんよりした空気にさせる危うさもはらんでいます。このバイブスを、いい感じの方向に発生させ、苦行と思えた仕事にプラスの思考を宿らせ、それまでとは全く違うご機嫌な気分へ導いてしまおうというのが本書の趣旨です。

「ひとつ意識」と「バラバラ意識」

 そのカギとなるのは、「ひとつ意識」というワード。これは、例えば、日本中を揺るがした大災害や衝撃的な事件に接した時、直接の当事者でないにもかかわらず社会の一員という潜在意識から「自分もなにか力にならなきゃ」と自然に湧き上がってくる思いを言い表した著者の造語です。

「ひとつ意識」の対になるのは「バラバラ意識」。常に自分の目の前の仕事に追われ、世の中全体を見渡す余裕を持てず、自分は孤独で無力で小さな存在に過ぎないと思いこんでしまう状態です。自分一人ではどうにもならないように思えることがあまりに多い今の時代、この「バラバラ意識」にとらわれて、縮こまってやり過ごそうとしている人が大多数というのが現実かもしれません。

 しかし、自分が携わっている仕事が常に誰かのためになっていると意識すれば、その人たちのために「頑張って仕事をしよう」という、バラバラ意識とは正反対の思いが生まれ、前向きな姿勢になれるというわけです。この「ひとつ意識」を心がければ、自分の仕事のみならず、自分の存在価値そのものが“いい感じ”に一変する、というのが倉園さんの提言です。

不機嫌でいるメリットはあるのか?

 ただし、高いモチベーションやプラス思考を持ち続けることと「ひとつ意識」から生まれる「いい感じ」は似て非なるもの。無理に意識を高めたところで結局は不安定で、永続させるのは不可能です。

 むしろ目指すべきは、外の事情に左右されることのない、「心に恐れや不安がない状態」を確立することだと倉園さんは強調します。

 例えば、仕事や生活で自分が不機嫌になっている問題の要因を外部環境や誰かのせいと考えるのではなく、「不機嫌でいることにメリットがあるのか?」と自問し、自分の感情を和らげていくといった考え方を徐々に身につけていくことが大事だというわけです。

なぜ既読スルーで悩むのか?

 また、周囲で発生する出来事をいちいち意味づけしまっていることが、自分を不機嫌にさせる要因になっているとも指摘しています。

 その典型的な例として挙げているのが、LINEなどメッセンジャーアプリの既読スルーがもたらす不安。これは、メッセージを受け取った相手がレスを返さない事情など些細なことかもしれず、想像したところでどうにもならないのに、自分の中で勝手な意味づけをして勝手に不安になっているだけのこと。自分を不機嫌にさせる要素の多くは、そんな意味づけによるものなのだから、意味づけすること自体を手放してしまえばいいというわけです。

 自分を不機嫌にする、実は自己解決で折り合いがつけられることを手放してしまえば、ご機嫌で安定した心の持ちようを継続することができる。クリエイターとして多くの世界の人達と接してきた著者ならではの経験から生まれた大胆なノウハウは、私たちの頭に凝り固まっていた常識を優しくほぐしてくれる一冊と言えるでしょう。

インプレス
2019年5月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

インプレス

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