<東北の本棚>隠れた名コースも紹介
[レビュアー] 河北新報
宮城、岩手、秋田の3県にまたがる栗駒山(1626メートル)にアプローチする九つのコースを写真や地図をふんだんに使って分かりやすく紹介している。一部登山者に人気があるもののあまり知られていないルートなども掲載し、花と紅葉で知られる栗駒山の新たな魅力を伝える。
「隠れた人気コース」として紹介する天馬尾根コースのページを読み進めると、愛好家ではなくても栗駒山への関心が高まる。
栗駒山の中で屈指の展望を誇る天馬尾根コースは、秋田県側の秣(まぐさ)岳登山口から登る。秣岳から続く尾根の見どころの一つがしろがね草原で、高山植物の楽園となっている。さらに進むと、鳥海山や月山も望むことができる「展望岩頭」と呼ばれる岩壁もあり、登山者を飽きさせないという。
このほか、沢や尾根を楽しめる東栗駒コースや、岩手・宮城内陸地震による土石流の痕跡など災害の爪痕を確認することができる裏掛コースなど多彩なルートを知ることができる。
各コースの案内では、難易度や平均的な所要時間、コース途中の風景写真などがあり、コース選びの参考になる。高山植物や温泉の紹介も充実している。
掲載したうち、須川・産沼(うぶぬま)コースの一部は閉鎖中となっている。
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