ヤンキーと地元 打越正行著 筑摩書房/ドライブイン探訪 橋本倫史著 筑摩書房

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ヤンキーと地元

『ヤンキーと地元』

著者
打越 正行 [著]
出版社
筑摩書房
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784480864659
発売日
2019/03/22
価格
1,944円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

ドライブイン探訪

『ドライブイン探訪』

著者
橋本 倫史 [著]
出版社
筑摩書房
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784480818508
発売日
2019/01/28
価格
1,836円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

ヤンキーと地元 打越正行著 筑摩書房/ドライブイン探訪 橋本倫史著 筑摩書房

[レビュアー] 鈴木洋仁(社会学者)

 土地と人生の関係をふりかえる2冊だ。

 『ドライブイン探訪』は、ライターの橋本倫史が、「今のうちに記録しておかなければ」と、全国を訪ね自費出版した雑誌をまとめた。

 ドライブインは「クルマを停(と)めて休憩することのできる」施設で、昭和30年代に急増する。「クルマ」というカタカナ表記は「アメリカが遠かった時代」の輝きを色濃く反映している。今も当時でもドライブコースではなさそうな、渋谷スクランブル交差点そばの大盛堂書店に、ドライブインが作られる。それほど、自動車=米国は日常から離れた珍しいものだった。

 だからこそ、逆に、日本全国に点在するそのひとつひとつに、その土地だからこそ営まれてきた人々の物語が刻まれている。アメリカ由来の文化を土着に組み込んできた歩みが、橋本による丁寧な聞き取りを通して語られる。

 ドライブインが佇(たたず)む国道は、しかし、同時に地元にとどまる若者の溜(た)まり場にもなる。

 沖縄を走るゴーパチ(国道58号線)にいた、「ヤンキー」と呼ばれる若者たちの十年以上の記録が、『ヤンキーと地元』に結実している。

 著者の打越正行は、社会学者としての調査を彼らの「パシリ」(使い走り)から始める。「調査地で実際に体験したことの記録」としての参与観察により、彼らとの信頼関係を築く。

 打越にとって彼らの世界は「魅力的」に映るものの、「きびしい現実が待ち受けている」。「キセツ」と呼ぶ内地(本土)への出稼ぎは、各地を転々とせざるを得ない。かといって、沖縄に戻ってきたとしても「しーじゃ〔先輩〕とうっとぅ〔後輩〕」の暴力を伴う上下関係から逃げられない。地元の人間関係が、いつまでも人生を左右する。それが沖縄だ。

 コンビニが全国を網羅し、風景は均一になって久しい。ドライブインとヤンキーが共有する土地に根ざした物語が失われつつある今、この2冊が運ぶ生の声に耳を傾けたい。

 ◇はしもと・ともふみ=1982年生まれ。ライター◇うちこし・まさゆき=1979年生まれ。琉球大非常勤講師。

読売新聞
2019年4月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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