アラフォー・クライシス 「不遇の世代」に迫る危機…NHK「クローズアップ現代+」取材班著

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アラフォー・クライシス

『アラフォー・クライシス』

著者
NHK「クローズアップ現代+」取材班 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103523512
発売日
2019/02/27
価格
1,512円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

アラフォー・クライシス 「不遇の世代」に迫る危機…NHK「クローズアップ現代+」取材班著

[レビュアー] 鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手)

 かつての「就職氷河期世代」、今、40歳近くの世代(アラフォー)の呻(うめ)きがこだまする。NHKの報道番組を書籍化しただけでなく、取材者たちの思いを伝えている。

 この20年は、39歳の評者を含む同世代にとって苦行と言うほかない。厳しい就活を終えても非正規雇用しかなく、ワーキングプアや派遣切りへの恐怖におののきながら、気がつくと不惑の年を迎える。

 そこで突きつけられる現実は、先行世代よりも低くなる給与や改善されない雇用状態といった危機ばかりだ。

 「生涯貧困が宿命づけられている」と言われてもなお、「自己責任」として苦境をも受け入れてしまう。すると、ますます自己肯定感は薄まる。

 取材班は、それを「受援力」のなさだと見る。助けて、と言えず、自分のせいだ、と思い込み、事態の深刻化を招く。未婚率の上昇もまた、高収入の男性や若い女性を求める規範意識の強さが原因だと分析する。

 だから、<情けないですが、「誰か助けて欲しい」>という視聴者からの手紙は重い。社会全体の問題として向き合う残り時間は少ない。(新潮社、1400円)

読売新聞
2019年5月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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